商社が
この記事でわかること
- メーカーのLinkedIn活用と、商社の使い方の違い
- 海外の売り先と仕入れ先、それぞれの探し方と最初の声のかけ方
- 取り扱いの多い商社が、1人・1分野から始めて広げる進め方
結論:商社は「売り先」と「仕入れ先」の両方をLinkedInで探せる
LinkedIn(世界のビジネスパーソンが、実名と勤め先・役職を載せているSNS)では、会いたい会社の担当者を探し、こちらから声をかけられます。商社にとっての強みは、この「探して、声をかける」を、売る側と仕入れる側の両方に使えることです。
- 売り先:海外の輸入商社、販売代理店(ディストリビューター)、現地メーカーの購買担当
- 仕入れ先:海外メーカーの輸出担当や海外営業の責任者、小さなメーカーやブランドの経営者
展示会や紹介を待たなくても、国・業界・役職で相手を決めて動けます。ただし、取り扱いの多い商社ほど、何でも紹介しようとすると相手に伝わりません。分野と国を絞り、「何を、どこからどこへつなげる会社か」を一言で示すことが出発点です。
メーカーのLinkedIn活用と何が違うのか
メーカーは、自社の製品を技術で選んでもらうためにLinkedInを使います。設計や開発の担当者に、技術の言葉で話しかけるのが中心です。くわしくは「製造業のLinkedIn活用|設計者・開発者に届く海外営業と、Sales Navigatorの絞り込み方」で解説しています。
商社は、売り手と買い手の間に立って商品を届けます。そのため、探す相手も、伝える強みも変わります。
- メーカー技術で
選ばれる 探す相手 自社製品の買い手 伝える(設計・開発・購買) 強み 技術、品質、 話の加工の 得意 入口 相手の技術の 社内の課題 分担 営業と技術で 分ける - 商社売り手と
買い手の 探す間に 立つ 相手 売り先と仕入れ先の 伝える両方 強み 扱う分野の 話の深さ、 調達・ 物流・ 品質の 確認、 現地との やり取り 入口 相手が何を 社内の探しているか、 どこへ 売りたいか 分担 分野ごと・ 地域ごとの 担当者で 分ける
| 観点 | メーカー | 商社 |
|---|---|---|
| 探す相手 | 自社製品の買い手(設計・開発・購買) | 売り先と仕入れ先の両方 |
| 伝える強み | 技術、品質、加工の得意 | 扱う分野の深さ、調達・物流・品質の確認、現地とのやり取り |
| 話の入口 | 相手の技術の課題 | 相手が何を探しているか、どこへ売りたいか |
| 社内の分担 | 営業と技術で分ける | 分野ごと・地域ごとの担当者で分ける |
| 気をつけたいこと | 技術の質問に答える人を決めておく | 担当者どうしで、同じ相手に重ねて声をかけない |
商社の強みは、1つの製品の性能より、「この分野ならこの人に聞けば早い」と思ってもらえることです。LinkedInでは、その印象を担当者一人ひとりのプロフィールとやり取りで積み上げます。
商社が探す相手と、最初の声のかけ方
相手は、売り先と仕入れ先に分けて探します。Sales Navigator(LinkedInの営業向け有料版)では、会社の条件と人の条件を組み合わせて絞り込めます。
- 仕入れ先海外メーカー輸出担当海外営業の
責任者 小さなメーカーの 話の経営者 入口: 日本やアジアでの 販売に 関心が あるか - 商社売り手と
買い手の 間に 立ち、 商品を 届ける - 売り先海外の
売り先 輸入商社販売代理店現地メーカーの購買担当 話の入口: 足りないもの、 日本から 取り 寄せたい もの
| 商社が探す相手 | 探し方の条件 | 最初の声のかけ方 |
|---|---|---|
| 売り先:海外の輸入商社・販売代理店 | 国で絞り、キーワードに「importer」「distributor」など。職種は購買や事業開発 | 相手が扱う分野に触れ、日本の何を扱っているかを一言で伝える |
| 売り先:現地メーカーの購買担当 | 業界と従業員数で会社を絞り、職種は購買。役職は担当者からマネージャーまで | 相手の業界で使う部材や原料を、日本から調達することに関心があるかを聞く |
| 仕入れ先:海外メーカーの輸出担当 | 業界と国で会社を絞り、職種は営業や事業開発。役職名に「export」「international sales」など | 日本やアジアでの販売に関心があるかを聞く |
| 仕入れ先:小さなメーカー・ブランドの経営者 | 従業員数を小さめにし、役職の段階をオーナーや経営者に | 製品のどこに関心を持ったかと、日本での売り方の考えを短く伝える |
売り先を探すとき
探し方は、メーカーが海外の代理店を探すときと近い部分があります。違うのは、商社は1社の商品ではなく、複数のメーカーの商品をまとめて提案できることです。相手がすでに扱っている商品の周りで、「足りないもの」や「日本から取り寄せたいもの」を聞くと、話が広がりやすくなります。
COSPALinksの商談でも、輸出を受け持つ卸の会社から「海外は一度に買う量が少ないと、振込の手数料や関税で単価が合わず、最初の取引が難しい」という話をうかがいました。利益の幅が小さい分、小さな取引では採算が合いにくいのです。そこで、Sales Navigatorで従業員数などから相手の会社の規模を先に絞り、使う会社より、まとまった量を仕入れる現地の卸や販売店を中心に声をかける進め方を話し合いました。貴社も、採算の合う一度の取引の量を先に決め、その量を扱えそうな規模を条件に入れて売り先を探してください。
仕入れ先を探すとき
強みになるのは、日本市場への入口になれることです。海外のメーカーにとって、日本の商習慣や言葉、物流、品質の求め方は分かりにくいものです。そこを引き受けられると伝えると、関心を持ってもらいやすくなります。Alibabaなどのマッチングサイトに載っているのは、自分から買い手を求めて載せた会社です。LinkedInなら、サイトに載っていないメーカーの担当者にも声をかけられます。2つの違いは「Alibaba・BtoBマッチングサイト・越境ECとLinkedInの違い|待つ集客と、会いに行く営業の使い分け」で解説しています。
つながり申請(LinkedInでの、名刺交換の申し込みのようなもの)の時点では、長い説明は要りません。一言添えられれば理想ですが、文面に悩んで送れないなら、メッセージなしで送っても構いません。会社の紹介は、承認された後のあいさつで短く伝えます。国・業界・役職の決め方と、相手が何人いるかの確かめ方は「LinkedIn海外営業のターゲット設定|国・業界・役職の決め方と、相手の人数の確かめ方」にまとめています。
仕入れ先のメーカーが気にすることに先に答える
海外のメーカーに声をかけると、相手は「この商社に任せて大丈夫か」を考えます。よく気にされるのは次の3点です。
- 自社の製品に力を入れてくれるか。多くの商品を抱える商社や代理店は、1つの製品に専念しないのでは、と心配されがちです。どの分野を中心に扱い、どんな売り先に届けているかを具体的に伝えます。
- どこに、どう売るのか。「日本で販売できます」だけでは判断できません。どんな業界の、どれくらいの規模の取引先に届けるのかを示します。
- やり取りの窓口は誰か。担当者の顔と名前が見えると、安心につながります。
こうした答えは、最初の1通に詰め込まず、プロフィールに書いておきます。申請を受けた相手は、まずプロフィールを見て判断するからです。
プロフィールは「何を、どこへつなぐか」を書く
商社の担当者のプロフィールでは、会社の紹介より、その人が何の専門家かが伝わることが大切です。
- 見出し(ヘッドライン。名前の下に出る一文):役職だけでなく、扱う分野と地域を入れます。例:「食品原料の輸出入|日本⇔東南アジア」。
- 概要:扱う商品の分野、取引先の業界、対応できる国、引き受けられる役割(調達、物流、品質の確認、現地とのやり取りなど)を短い文で並べます。
- 企業ページ:つながった相手を、会社のページのフォローに招待します。
COSPALinksが支援の中で見てきた傾向では、プロフィールを整えると承認は増えやすい一方、返信まではあまり変わりません。返信につながるかは、承認後のあいさつで相手の関心に触れられるかで決まります。
商社では、担当の異動や担当替えがよくあります。個人のアカウントを仕事に使うのは、海外では当たり前のことです。つながった相手を企業ページに招待しておけば、担当が替わっても、関係を会社の資産として残せます。
始め方:1人・1分野・1〜2か国から
取り扱いの多い商社ほど、最初から全部の分野で始めないことが大切です。
- 分野を1つ選ぶ。強みがはっきりしていて、海外に売り先や仕入れ先を増やしたい分野から始めます。
- 国を1〜2か国に絞る。反応の違いが見えやすくなります。中国本土では、LinkedInは公式には使えないので、WeChatなど別の手段を考えます。
- 売り先と仕入れ先、どちらから始めるかを決める。両方を同時に始めると、検索の条件もあいさつも混ざります。
- 1人がSales Navigatorで始める。まず1人がCoreプラン(いちばん基本のプラン)で始め、成果が見えたら、ほかの分野や地域の担当者もアカウントを持って広げます。1か月の無料トライアルがあるので、プロフィールと検索の条件を契約前に整えておくと、初日から申請を送れます。
申請の作業は、1日10〜15分ほどで回せます。承認の目安は、COSPALinksの経験では「ざっくり2〜6割、国や相手でかなり変わる。アジアは3〜6割狙える、アメリカ・ヨーロッパは渋めで2〜4割」です。返信が届いたら、2〜3日のうちに答えましょう。
既存の代理店網や取引先とぶつけない
商社には、すでに国ごとの代理店や、長く付き合う取引先があることが多いものです。LinkedInは、それを置き換えるものではなく、別の入口として足すものです。
- 代理店のいない地域から始める。一国一代理店(1つの国に1社の代理店を置く形)の体制はそのままにして、代理店がカバーしていない地域や、新しく扱う分野の売り先探しに使います。新しい代理店の候補探しにも使えます。
- 代理店の先の取引先ともつながる。主要な取引先の担当者とつながっておくと、関係が代理店の中だけに閉じません。
- 社内で声をかける相手を分ける。担当者が複数いるなら、分野や国ごとに検索の条件を分けます。同じ相手に別々の担当者から申請が届くと、相手を戸惑わせます。
新しい代理店の候補の探し方と選び方は「海外代理店の探し方・見つけ方」、代理店・展示会・越境ECなどを含めた販路の選び方は「海外の販路開拓の方法」で解説しています。
展示会の前後をLinkedInでつなぐ
商社は、展示会に出展者としても来場者としても関わります。どちらの場合も、LinkedInは会期の前後をつなぐのに役立ちます。
- 出展するとき:狙う会社の担当者と前もってつながり、出展することを伝えて、会場で会う約束をします。
- 来場するとき:出展するメーカーの輸出担当と事前につながっておくと、短い会期でも、仕入れ先の候補とじっくり話せます。
- 会期の後:名刺を交換した相手にもLinkedInで申請し、やり取りを続けます。
公開されている導入事例では、総合機械商社の第一実業が、国内の営業で、展示会に関わる企業のキーマンをSales Navigatorで絞り込み、会期の前に接点をつくりました。1か月の運用で、つながり申請468人から新規つながり196人、DM(1対1のメッセージ)の返信63件、有望リード10件につながっています。有望リードの中身は、技術相談や打ち合わせの希望です。展示会の前に相手を絞って声をかける考え方は、海外の展示会にも当てはまります。声をかけ始める時期と手順は「海外展示会の準備は6週間前から」で解説しています。
よくある失敗
- 扱う商品を全部並べた案内を送る。何の会社か伝わりません。分野を絞り、相手に関係のある話から入ります。
- 売り先と仕入れ先に同じ文面を送る。相手が知りたいことが違います。検索の条件もあいさつも分けます。
- 企業ページだけで動く。企業ページから相手に声をかけることはできません。主役は担当者の個人アカウントです。
- つながった直後に価格や条件の話をする。まずは相手が何を探しているかを聞き、関心を確かめてから進めます。
よくある質問
Q. 取り扱い商品が多くても、LinkedInは使えますか?
使えます。ただし、全部を一度に紹介すると伝わりません。分野ごとに検索の条件とあいさつを分け、まずは1つの分野から始めます。担当者が分野ごとに分かれているなら、それぞれのプロフィールで、その分野の専門家として見せます。
Q. 国内の取引先や仕入れ先探しにも使えますか?
LinkedInの本領は海外の相手です。日本の利用者は海外に比べて少ないので、国内の相手を探すときは、Sales Navigatorで当てはまる人数を先に確かめます。業界や相手によっては、国内でも反応が得られます。
Q. 担当者みんなで1つのアカウントを使ってもいいですか?
勧めません。LinkedInのアカウントは、実名の本人が使うことが前提です。1つのアカウントを何人かで使い回したり、パスワードを預けて代わりに操作してもらったりするのは、利用規約に反するおそれがあります。注意点は「LinkedIn営業の代行は規約違反?代理ログイン・自動化の注意点と、安全な頼み方」で解説しています。
Q. 英語以外の言葉を使う国の相手にも、声をかけられますか?
相手が英語でやり取りできるなら、英語で構いません。AI翻訳で下書きを作れるので、英語の壁は大きく下がっています。現地の言葉で送りたい場合は、ネイティブが書くか確かめないと、不自然な文になります。
まとめ
- 商社はLinkedInで、海外の売り先と仕入れ先の両方を探せる
- メーカーは技術で選ばれ、商社は「何を、どこからどこへつなげるか」で選ばれる。プロフィールの見出しにその一言を書く
- 売り先は輸入商社・販売代理店・現地メーカーの購買、仕入れ先は海外メーカーの輸出担当や経営者。検索の条件もあいさつも分ける
- 1人・1分野・1〜2か国から始め、成果が見えたら担当者を増やす
- 代理店網は置き換えず、代理店のいない地域や新しい分野の入口として足す
COSPALinksは、商社を含むBtoB企業の、LinkedInを使った海外営業を支援しています。狙う相手の決め方から、つながった相手との会話の進め方までを、資料ライブラリにまとめています。商社向けの支援の中身は、「商社の海外営業代行」でご紹介しています。
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