輸出代行は、
この記事でわかること
- 輸出代行・商社・通関業者・フォワーダーの違いと、輸出代行に頼めること・頼めないこと
- 輸出代行を選ぶときに確かめること
- 手続きは代行に任せ、売り先は日本からLinkedInで自社で見つける進め方
輸出代行とは:輸出の手続きと運送の手配をまとめて任せるサービス
輸出代行とは、輸出に要る書類づくり、税関への輸出申告、船や飛行機の予約、梱包や保険の手配などを、荷主(荷物を送る会社)に代わってまとめて行うサービスです。法律で決まった名前ではないため、どこまで受け持つかは業者ごとに違います。担い手は、フォワーダー、通関業者、物流会社、貿易の事務を請け負う会社などです。
この記事では、会社が海外の会社に製品を売るBtoBの輸出で、輸出代行を使う場面を扱います。個人の海外発送や、ネット通販の発送代行は扱いません。
先に結論をまとめます。
- 書類・通関・運送など、注文が決まった後の手続きは、輸出代行に任せられます。
- 海外の売り先を見つけること、価格と条件を決めること、買い手との関係を続けることは、多くの輸出代行の範囲に入りません。
- 売り先探しまで任せたいなら、自社の名前で仕入れて海外に売る商社に売る形(間接輸出)になります。そのぶん、顧客との関係は商社の側に残ります。
輸出の始め方と、直接輸出・間接輸出の違い、貿易の流れは「海外輸出の始め方」で解説しています。
輸出代行・商社・通関業者・フォワーダーの違い
輸出にかかわる相手は、受け持つ範囲で分けると次のようになります。
- 間接輸出売り
先探しまで 任せたい 商社顧客は商社の 製品を買い取り、自社の名前で海外に売る輸出の手続きと代金の回収も受け持つ側に 残りやすい - 注文が
決まった 書類・通関・後の 手続き 運送を まとめて 任せたい 輸出代行範囲は業者ごとに 手続きを1つの窓口でまとめて受ける売り先探しは、範囲に入らないことが多い違う - 税関への
手続き 輸出申告を頼みたい 通関業者売り先探しは 依頼を受けて、税関への輸出申告を代わりに行う税関の許可を受けるまでを受け持つ行わない - 国際輸送船・飛行機の
予約と 運送を 頼みたい フォワーダー売り先探しは 港や空港までの運送、混載、運送の書類の手配輸出申告までまとめて受けることも多い行わない - 「代理店」と
呼ぶことも 海外で多い 売ってくれる 相手が ほしい 海外の代理店・販売店輸出代行とは別もの 相手国にいて、現地の顧客に売る
| 相手 | 主な役割 | 売り先探しと買い手との関係 |
|---|---|---|
| 商社 | 製品を買い取り、自社の名前で海外に売る。輸出の手続きと代金の回収も受け持つ | 商社の販路で売る。顧客は商社の側に残りやすい |
| 輸出代行 | 書類・通関・運送などの手続きを、まとめて手配する。範囲は業者ごとに違う | 範囲に入らないことが多い |
| 通関業者 | 税関への輸出申告を、依頼を受けて代わりに行う | 行わない |
| フォワーダー | 船・飛行機の予約と、港や空港までの運送を手配する | 行わない |
市場調査や現地の手続きまで含めた、海外展開の支援全体の選び方は「海外進出・海外展開の支援の選び方」で比べています。
商社:売り先ごと任せられるが、顧客は商社の側に残る
商社は、メーカーから製品を買い取り、自社の名前で海外に売ります。メーカーから見ると、国内の会社に売る取引で、円で取引できることが多くあります。輸出の手続きと代金の回収も商社が受け持つので、貿易の経験がなくても海外に売れます。一方で、海外の誰に売れたか、どんな声があったかは、メーカーまで届きにくくなります。商社の側から見た海外の新規開拓は「商社の海外新規開拓にLinkedInを使う方法」で解説しています。
通関業者:税関への輸出申告を代わりに行う
通関業者は、輸出や輸入の申告など、税関への手続きを、依頼を受けて代わりに行う業者です。通関業を営むには、財務大臣の許可が要ります(税関の案内)。輸出では、インボイス(仕入書)などをもとに申告をして、税関の許可を受けるまでを受け持ちます。
フォワーダー:国際輸送の手配をまとめる
フォワーダーは、船会社や航空会社の輸送を使って、荷物を相手国まで運ぶ手配をする業者です。船や飛行機の予約、港や空港までの運送、ほかの荷物との混載、運送の書類の手配などを受け持ちます。通関業の許可を持ち、輸出申告までまとめて受けるフォワーダーも多くあります。
輸出代行:手続きをまとめて受ける窓口
輸出代行は、通関と運送に加えて、書類づくり、梱包・保管、保険、買い手との書類の取り決めなどを、1つの窓口でまとめて受ける形です。フォワーダーや通関業者が輸出代行として受けることも多いので、名前よりも、何を受け持つかで見分けます。
海外の代理店・販売店とは別もの
「代理店」という言葉は、海外で製品を売ってくれる代理店・販売店を指すことも多くあります。こちらは相手国にいて、現地の顧客に売る会社です。日本で輸出の手続きを受け持つ輸出代行とは、役割が違います。海外の代理店の探し方は「海外代理店の探し方・見つけ方」で解説しています。
輸出代行に頼めること・頼めないこと
頼める範囲は業者ごとに違いますが、目安は次のとおりです。
- インボイス・パッキングリストの
作成 自社:品名・数量・単価などの中身を 出す - 輸出申告
(通関) 自社:製品の説明と、 輸出管理の 確認に 要る 情報を 出す - 船・飛行機・国内の
運送・保険の 自社:届け先と手配 希望の 時期を 伝える
- 梱包・保管・検品
- 買い手との
英文の 書類・出荷の連絡 日程 - 信用状
(L/C) ・送金の 手続き
- 売り
先探し・ 自社で新しい 買い手との 面談 動くか、 営業の 支援を 使う - 価格・
貿易条件・支払条件を 決める - 買い手との
関係・次の 注文
| 仕事 | 輸出代行に頼めるか | 自社で持つこと |
|---|---|---|
| インボイス・パッキングリストの作成 | 頼める | 品名・数量・単価などの中身を出す |
| 輸出申告(通関) | 頼める | 製品の説明と、輸出管理の確認に要る情報を出す |
| 船・飛行機・国内の運送・保険の手配 | 頼める | 届け先と希望の時期を伝える |
| 梱包・保管・検品 | 業者による | 壊れやすさや梱包の決まりを伝える |
| 買い手との英文の連絡(書類・出荷の日程) | 業者による | 写しを受け取り、中身をつかんでおく |
| 信用状(L/C)・送金の手続き | 業者による | 代金がどこに入るか、回収の危険を誰が負うかを決める |
| 価格・貿易条件・支払条件を決める | 頼めない | 自社で決める |
| 売り先探し・新しい買い手との面談 | 範囲に入らないことが多い | 自社で動くか、営業の支援を使う |
| 買い手との関係・次の注文 | 頼めない | 自社で持つ |
売り先探しが範囲に入らない理由
輸出代行は、誰に、何を、いくらで売るかが決まった荷物を、間違いなく相手に届ける仕事です。売り先探しは、狙う国と相手を決めて声をかけ、話を重ねて条件を詰める、営業の仕事です。要る力も、かかる時間も違います。そのため、多くの輸出代行は売り先探しを受け持ちません。商社に任せれば売ってもらえますが、そのときは顧客との関係も商社に預けることになります。
買い手との窓口を、代行だけにしない
出荷の連絡を代行に任せると、買い手とのやり取りが代行の担当者とだけになることがあります。そのままにすると、買い手の不満や次の注文の話が自社に届かず、代行を替えるときに連絡先も残りません。出荷の連絡は代行に任せても、買い手の担当者とは自社が直接つながり、やり取りの写しを受け取っておきます。
輸出代行を選ぶときに確かめること
輸出代行を選ぶときは、次の7つを確かめます。
- 受け持つ範囲: 書類・通関・運送・梱包・保管・保険・英文の連絡・決済の手続きのうち、どこまでを受け持つか。頼みたい仕事を一覧にして照らし合わせ、見積もりに何が含まれるかも確かめます。
- 輸出者の名義: 輸出の申告と書類に、自社と代行会社のどちらの名前が載るか。名義によって、書類に載る売り手と、代金の流れが変わることがあります。
- 製品と国の経験: 自社の製品と狙う国の輸出を扱ったことがあるか。電池・化学品・食品など、扱えない品目や、ほかの手続きが要る品目がないか。
- 輸出管理の分担: 製品や技術によっては、輸出に国の許可が要ります。当たるかどうかの判定(該非判定)は輸出する側が行いますが、もとになる製品の仕様を出せるのはメーカーである自社です(経済産業省の案内)。誰が何を出すかを決めておきます。
- 買い手との連絡の窓口: 代行が買い手と直接連絡するか。するなら、自社に写しが届くか。
- 代金の流れ: 買い手からの代金が自社に直接入るか、代行を通るか。信用状や送金の手続きを誰が受け持つか。
- トラブルのときの責任と、社内に残るもの: 遅れや破損のときの責任と連絡の順番を、契約に書いておきます。書類の写しと手順を受け取り、社内にも知識を残します。
手続きは代行に任せ、売り先は自社で持つ進め方
輸出代行を使えば、社内に貿易の担当者がいなくても、書類と運送は回せます。社内で受け持つのは、売り先を見つけることと、見積もりの条件を決めることです。
- 自社: 狙う国と相手を決める、声をかける、面談で条件を聞く、価格と条件を決める、買い手との関係を続ける
- 輸出代行: 運賃と書類の確認、輸出申告、運送と保険の手配、出荷の連絡
売り先を自社で見つける方法には、展示会、紹介、マッチングサイト、LinkedInなどがあり、比べ方は「海外バイヤーの見つけ方・探し方」で解説しています。ここでは、日本から始められるLinkedInの進め方をまとめます。LinkedInは仕事のためのSNSで、200以上の国と地域で14億人以上が登録しています(About LinkedIn)。部署や役職まで分かるので、会いたい相手を選んで声をかけられます。
1. 狙う国と相手を決める
国は1〜2か国に絞ります。相手は、製品を自社で使うメーカーなどの使い手か、仕入れて現地で売る代理店・販売店かを決め、会いたい人の部署と役職まで書き出します。決め方は「LinkedIn海外営業のターゲット設定」にまとめています。
2. Sales Navigatorで相手を探す
Sales Navigator(LinkedInの営業向けの有料版)では、国・地域、業界、会社の規模、役職の高さ、役職名のキーワードを組み合わせて相手を探せます。使い手なら購買や技術・開発の担当者を、代理店なら distributor や importer の言葉で会社を探し、経営者や事業開発の責任者を探します。条件ごとの人数は、1か月の無料トライアルの間に確かめられます。機能は「LinkedIn Sales Navigatorとは?」とLinkedIn公式の「Sales Navigatorの使い方」で解説しています。
3. つながり申請と最初の1通
声をかけるのは企業ページではなく、担当者本人の個人アカウントです(企業ページからは、つながり申請もメッセージも送れません)。申請に添える文は相手に合わせるのが理想ですが、書けずに止まるより、メッセージなしでも送るほうがよいです。
承認される割合はざっくり2〜6割で、国や相手でかなり変わります。アジアは3〜6割を狙え、アメリカ・ヨーロッパは渋めで2〜4割です。申請は1日10〜15分ほどで回せます。英語のやり取りは、AI翻訳で壁が大きく下がりました。文面の型は「LinkedInの英語メッセージ例文集」にまとめています。
4. 面談で輸出の条件を聞き、代行に渡す
返信が届いたら2〜3日以内に返し、3〜4回のやり取りで資料の送付やオンラインの面談につなげるのが目安です。面談では、代行に運賃と書類を確かめてもらうのに要る条件も聞いておきます。
- 数量と、欲しい時期
- 届け先(国・都市・港)
- 希望の貿易条件と支払い方法
- 買い手が使っているフォワーダーと、輸入に要る書類
聞いた条件を代行に渡し、運賃と書類を確かめてから見積もりを出します。見積もりの組み立て方と貿易条件の選び方は「海外輸出の始め方」で解説しています。
5. 受注の後も、買い手とつながっておく
出荷の連絡は代行に任せても、買い手の担当者とはLinkedInでつながったままにし、つながった相手を自社の企業ページのフォローに招待しておきます。担当者が替わっても、会社の資産として残ります。
支援の現場でも、「担当者が異動や退職をしたら、LinkedInのつながりも消えてしまうのでは」という質問をよく受けます。企業ページのフォローに招待しておくことに加えて、担当が替わるときは、つながっている相手に後任を紹介しておきます。名刺を引き継ぐのと同じように、関係を次の担当者に渡せます。
食品原料加工メーカーの京都グレインシステムは、LinkedInを一から使い始め、北米・欧州・アジアの食品・飲料メーカーの研究開発・商品開発・購買の責任者に声をかけました。事例ページでは、つながり申請402件、つながり163件、返信37件、有望リード13件の実績を紹介しています。
社内に声をかける人手がないときは、相手探しと声かけの作業を委託で始め、成果の出た地域から社内に移す方法もあります(「自分でやるか、頼むか」)。担当者のアカウントに代わりにログインするやり方や自動化のツールは、LinkedInの規約に反するおそれがあるので、頼む先のやり方も確かめます。
輸出代行でよくある失敗
- 代行に頼めば売れると思う: 手続きが整っても、売り先がなければ荷物は動きません。売り先探しは、代行とは別に進めます。
- 範囲を確かめずに頼む: 書類と通関は頼めたのに、梱包や保険は別だった、というずれが起きます。
- 買い手との連絡を任せきりにする: 次の注文の話や不満が自社に届かず、代行を替えるときに何も残りません。
- 輸出管理の確認を代行任せにする: 製品の情報を出さないまま出荷が近づき、許可が要ると分かって止まることがあります。
まとめ
- 輸出代行は、書類・通関・運送などの手続きをまとめて任せるサービス。範囲は業者ごとに違う
- 商社は売り先ごと任せられるが、顧客は商社の側に残りやすい。通関業者は輸出申告、フォワーダーは国際輸送の手配を受け持つ
- 売り先探し、価格と条件、買い手との関係は、多くの輸出代行の範囲に入らない
- 選ぶときは、受け持つ範囲、輸出者の名義、製品と国の経験、輸出管理の分担、連絡の窓口、代金の流れ、責任を確かめる
- 手続きは代行に任せ、売り先はLinkedInで日本から自社で見つけ、受注の後も買い手とつながっておく
COSPALinksは、LinkedInを使った海外営業を支援しています。輸出の手続きは外に任せ、売り先は自社で持つための、海外の買い手や代理店の候補の探し方と声のかけ方を、資料ライブラリにまとめています。
よくある質問
A通関代行は、税関への輸出申告を代わりに行うことで、通関業者の仕事です。輸出代行は、申告に加えて、書類づくり、運送と保険の手配、梱包などまでまとめて受け持ちます。どこまで受けるかは業者ごとに違うので、頼みたい仕事を一覧にして確かめます。
A範囲に入らないことが多いです。輸出代行は、注文が決まった荷物を届ける仕事だからです。売り先まで任せたいなら商社に売る形、自社で見つけるなら展示会・紹介・LinkedInなどを使います。
A売り先がまだなく、まず海外で売れるかを試したいなら、商社に売る形が始めやすいです。売り先を自社で見つけ、価格と顧客の声を自社で持ちたいなら、輸出代行に手続きを任せて直接輸出します。商社との取引を続けたまま、商社が扱っていない国だけ自社で売る組み合わせもできます。
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