海外企業リストは、
この記事でわかること
- 海外企業リストの5つの集め方と、それぞれの向き不向き
- リストに入れる項目と、国・業種・規模・役職での絞り込み方
- 個人情報とメール送信で確かめることと、リストを使い続ける回し方
海外企業リストの作り方:会社を集め、担当者を見つけ、更新し続ける
海外企業リスト(海外営業リスト)とは、声をかける海外の会社と、その中の担当者をまとめた表です。リストには2つの層があります。どの会社に売るかを決める「会社のリスト」と、その会社の誰に声をかけるかを決める「人のリスト」です。
作り方は、次の5段で進めます。
- 1狙う
相手を まず決める 1〜2か国。 国・地域業種・規模役職会社を 絞り、 その 中で 役職を 絞る - 2候補の
会社を 会社を集める 広く 展示会の拾い、 登記や 会社の サイトで 確かめる 出展者一覧 業界団体の名簿 企業登記企業データベース - 3会社の
中の 会社ごとに、担当者を 見つける 話す相手を LinkedInなど1〜2人決める - 4項目を
そろえて 1行に1つの 表に まとめる 1人。 出どころと会社の 情報は 同じ 書き方で そろえる 日付 選んだ理由 状態断りの記録 - 5結果を
記録し、 声を更新し続ける かけた 毎日毎週毎月結果を 残し、 条件と 集め方を 見直す
- 狙う国・業種・規模・役職を決める
- 候補の会社を集める(展示会の出展者一覧、業界団体の名簿、企業登記、企業データベース)
- 会社の中の担当者を見つける(LinkedInなど)
- 項目をそろえて、1つの表にまとめる
- 声をかけた結果を記録し、更新し続ける
大事なのは、集めた件数より「声をかけられる相手が何人いるか」です。社名だけが並んだリストでは、誰に何を送るかが決まりません。海外営業の仕事の全体は「海外営業とは?仕事内容・国内営業との違い」で解説しています。
海外企業リストの5つの集め方と、向き不向き
集め方は、大きく5つです。違いは「社名だけか、担当者まで分かるか」「情報がどれくらい新しいか」「費用がどうかかるか」の3点に出ます。
| 集め方 | 分かること | 新しさ | 費用の考え方 |
|---|---|---|---|
| 展示会の出展者一覧 | 社名・国・出展の分野 | 会期の時点の情報 | 一覧を見るだけなら、かからないことが多い |
| 業界団体の会員名簿 | 社名・業種 | 団体の更新しだい | 公開の名簿は無料。会員だけが見られる名簿もある |
| 各国の企業登記・公開情報 | 正式な社名・所在地・事業の種類・役員(国による) | 届け出に合わせて変わる | 無料で調べられる国も、有料の国もある |
| 企業データベースのサービス | 社名・業種・規模・財務。担当者の連絡先まで入るものも | サービスの更新の仕方しだい | 年間の契約、件数や国ごとの購入など、形はさまざま |
| LinkedIn・Sales Navigator | 会社の中の部署・役職・職歴 | 本人が更新する。転職も分かる | 無料版で探せる。細かい絞り込みは有料版 |
1. 展示会の出展者一覧:その分野で今動いている会社
多くの展示会は、公式サイトに出展者の一覧を載せ、国や製品の分野で探せるようにしています。自社が出展しなくても、一覧は見られることが多いです。
- 向いている: その業界で今動いている会社を、まとめて拾えます。
- 向いていない: 担当者の名前は載らないことが多く、出展していない会社は入りません。
拾った会社の担当者をLinkedInで探し、会期の前に会う約束を取れば、会場での時間を生かせます。一覧の使い方に決まりがある展示会もあるので、サイトの利用条件を確かめます。会期の前の声のかけ方は「海外展示会の選び方・出展準備の流れ・費用と事前アポの取り方」で解説しています。
2. 業界団体の会員名簿:専門の分野を漏れなく
各国の業界団体や現地の商工会議所は、会員の一覧をサイトに載せていることがあります。
- 向いている: 専門の分野の会社を漏れなく拾いたいときです。会員であること自体が、業界で活動している手がかりになります。
- 向いていない: 会員でない会社は入りません。担当者は分からないことが多く、会員だけに公開している名簿もあります。
3. 各国の企業登記・公開情報:会社が本当にあるかを確かめる
会社の登記を公開している国では、正式な社名・登記上の住所・事業の種類などを調べられます。たとえばイギリスのCompanies Houseでは、会社名・登記上の住所・事業の種類(SICコード)・役員などを無料で検索できます。アメリカのように州ごとに登記する国もあり、公開する項目や、無料か有料かは国によって違います。
- 向いている: 会社が本当にあるか、正式な社名と所在地を確かめるときです。会社のサイトやニュース、上場企業の年次報告書からは、製品や拠点の動きも分かります。
- 向いていない: 営業や購買の窓口は分かりません。候補を探す道具というより、確かめる道具です。
取引の前に相手が本物かを見分ける点は「海外バイヤーの見つけ方・探し方」でまとめています。
4. 企業データベースのサービス:国・業種・規模でまとめて絞る
企業データベースは、多くの会社の情報を集め、条件で探せるようにしたサービスです。海外の会社を扱うものには、主に次の種類があります。
- 企業の基本情報・財務を集めたもの: 信用調査の会社などが提供し、業種・従業員数・売上・親会社と子会社の関係などが分かります。
- 担当者の連絡先まで入れたもの: 営業向けに、担当者の名前・役職・メールアドレスなどを収録しています。
- 業界ごとの企業名鑑: 製造業など特定の業界の会社を、製品の分野で探せます。
国・業種・規模で一度に多くの会社を出せるのが強みです。一方で、更新の時期はサービスによって違い、担当者の情報は転職で古くなります。国によっては、載っている会社が少ないこともあります。
費用の形は、年間の契約、件数ごと、国ごとなどさまざまです。無料の試用や見本のデータで、次の点を確かめてから決めます。
- 狙う国・業種の会社が、どれくらい載っているか
- 情報がいつ更新されたか、担当者の情報が今も合っているか
- 書き出しや、メールでの営業に使ってよいか(契約の利用条件)
- 解約した後も、書き出したデータを使ってよいか
1件あたりの値段より、「実際に声をかけられた相手1人あたり」で見ると、ほかの集め方とも比べやすくなります。
5. LinkedIn・Sales Navigator:会社の中の担当者まで分かる
LinkedInは仕事のためのSNSで、200以上の国と地域で14億人以上が登録しています(About LinkedIn)。プロフィールに本人が部署・役職・職歴を書くので、会社の中で誰に声をかけるかが分かります。
無料のLinkedInでも、所在地・今の会社・業界などで人を探せます。営業向けの有料版のSales Navigatorでは、業界・会社の規模・担当業務・役職の高さなどで細かく絞り込めます。検索の条件を保存すると、新しく当てはまった人を知らせてくれ、保存した人の転職なども分かります(LinkedIn公式「How to use LinkedIn Sales Navigator」)。
- 向いている: 担当者まで知りたいとき、見つけた相手にそのまま声をかけたいときです。
- 向いていない: LinkedInを使っていない人や、プロフィールを更新していない人は拾えません。中国本土では公式には使えないので、別の手段が要ります。
Sales Navigatorには、検索結果を一括でCSVに書き出す標準の機能はありません。外部のツールでプロフィールを抜き出したり、申請を自動で送ったりするのは、LinkedInの規約に反するおそれがあります。注意点は「LinkedIn営業の代行は規約違反?」に、見つけた相手が偽のアカウントでないかの見分け方は「LinkedInは危険?危険性の正体と安全に使う設定」にまとめています。
組み合わせ方:会社は広く集め、人はLinkedInで探す
5つは組み合わせて使います。候補の会社を集め、企業登記や会社のサイトで確かめ、LinkedInでその会社の担当者を探す流れです。目的で選ぶなら、業界の主な会社を早く拾うには展示会の出展者一覧、専門の分野の会社を漏れなく拾うには業界団体の会員名簿、会社が本当にあるか・正式な社名を確かめるには各国の企業登記・公開情報、国・業種・規模で多くの会社をまとめて出すには企業データベースのサービス、担当者まで分かって声をかけるにはLinkedIn・Sales Navigatorが向いています。
- 業界の
主な 会社を 早く 拾う 展示会の出展者一覧会社を拾う 社名・国・出展の分野担当者の名前は載らないことが多い - 専門の
分野の 会社を 漏れなく 拾う 業界団体の会員名簿会社を拾う 社名・業種会員でない会社は入らない - 会社が
本当に あるか、 正式な 社名を 確かめる 各国の企業登記・公開情報会社を確かめる 正式な社名・所在地・事業の種類・役員(国による)営業や購買の窓口は分からない - 国・業種・規模で
多くの 会社を まとめて 出す 企業データベースのサービス会社を拾う 社名・業種・規模・財務。担当者の連絡先まで入るものも担当者の情報は転職で古くなる - 担当者まで
分かって 声を かける LinkedIn・Sales Navigator担当者まで分かる 会社の中の部署・役職・職歴LinkedInを使っていない人は拾えない
展示会・代理店・越境ECなど、販路の方法そのものの比べ方は「海外の販路開拓とは?」で解説しています。
相手の絞り込み方:国・業種・規模・役職
リストの質は、集め方より先に、絞り込みの条件で決まります。会社の条件(国・業種・規模)で会社を絞り、その中で役職を絞る順に進めます。
| 軸 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 国・地域 | まず1〜2か国。取引や問い合わせのあった国から選ぶ | ドイツ、ベトナム |
| 業種・相手の種類 | 製品を使う業界か、仕入れて売る代理店・販売店か | 機械メーカー/distributor、importer |
| 規模 | 取引の量と、窓口の近さに合う大きさ | 従業員数、売上 |
| 役職 | 製品を評価し、選ぶ部署と役職の高さ | Purchasing Manager、R&D Manager、Managing Director |
| 外す条件 | 今の取引先、競合、代理店がすでにいる地域 | 今の顧客の一覧と照らし合わせる |
- 役職は、高さだけで選ばず、製品を評価したり選んだりする立場かを見ます。小さな販売店では、経営者が仕入れを決めていることが多いです。
- 英語の役職名は会社によって違います。購買なら Purchasing・Procurement・Buyer のように、よく使われる言い方を並べます。
- 最初は広めにし、人数を見ながら条件を1つずつ足します。
COSPALinksがご支援する中でも、絞り込みでは次の3つをよくお伝えしています。
- 声をかける相手がいるかを先に確かめる: ご相談でよく聞かれるのが、「狙う国と業界に、そもそも相手がいるのか」という質問です。面談では、その場でSales Navigatorに条件を入れ、会社の数と担当者の人数を一緒に確かめます。足りないときは周辺の業種に広げ、それでも少なすぎる市場なら、リストを作り込む前に狙いを見直します。
- いきなり経営トップに申請しない: 経営トップに寄せて申請した試行では承認が低くとどまり、申請先を経営層から現場の実務層に変えると承認が安定した例もあります。まず製品を評価する担当者や周りの人とつながって共通のつながりを増やし、そのうえで決める立場の人に申請します。
- プロフィールの言葉で役目を決めつけない: 「プロフィールに日本語がある人は、日本との取引の担当だろう」という見立てで絞ってみて、当たらなかったことがあります。役目は、職歴の部署と役職で確かめます。
精密部品メーカーの狭山金型製作所は、Sales Navigatorで業界・役職・技術の関心の分野を軸に相手を絞り、医療機器・半導体分野の研究開発の責任者や技術のリーダー層に声をかけました。事例ページでは、つながり申請870件、つながり217件、返信45件、有望リード15件の実績を紹介しています。
国・業界・役職の決め方と、相手の人数の確かめ方は「LinkedIn海外営業のターゲット設定」で解説しています。
海外企業リストに入れる項目
項目は、最初から増やしすぎないようにします。1行に1人とし、会社の情報は同じ書き方でそろえます。
| まとまり | 項目 | 何に使うか |
|---|---|---|
| 会社 | 正式な社名、国・都市、ウェブサイト、業種、規模、相手の種類(使い手・代理店など) | 絞り込みと、国や業種ごとの反応の比べ |
| 担当者 | 名前、部署、役職、LinkedInのプロフィールのURL | 誰に声をかけるか |
| 出どころ | 見つけた場所(展示会名・団体・データベース・LinkedIn)と日付 | 情報の古さの判断と、集め方ごとの成果の比べ |
| 選んだ理由 | なぜこの会社・この人か(扱う製品、用途) | 最初の1通の書き出し |
| 状態 | 未接触・申請済み・つながった・返信あり・面談・見送り。最後のやり取りの日と次にすること | 次の一手を決める |
| 断りの記録 | 連絡を断られた日、メールの配信停止の依頼 | 同じ相手に二度と送らない |
- 社名は、登記や会社のサイトの正式な表記にそろえます。「GmbH」「Co., Ltd.」の有無で、同じ会社が2行になるのを防げます。
- メールアドレスは、相手から受け取ったものや、会社が公開している窓口を書きます。推測で作ったアドレスに一斉に送ることはしません。
- 置き場所は、1人なら表計算のファイル、チームなら社内のCRM(顧客管理の仕組み)と決めておきます。
個人情報とメール送信で気をつけること
社名や所在地と違い、担当者の名前・役職・メールアドレスは個人に関する情報です。仕事用の連絡先でも、国によっては個人データとして守られる対象になります。たとえばEUのGDPR(一般データ保護規則)は、EUの外の事業者にも適用されることがあります(個人情報保護委員会の案内)。アメリカの連邦取引委員会(FTC)は、商用メールの決まり(CAN-SPAM法)に会社あてのメールの例外はないと案内しています(FTCの案内)。
決まりは国ごとに違い、変わることもあります。リストを作るときと送る前に、次の点を確かめます。
- 1集める
とき どこで手に入れた情報かを、行ごとに残す名簿やデータベースの利用条件で、営業の連絡やメールに使ってよいか必要な項目だけを集めるメールアドレスは、相手から受け取ったものか、会社が公開している窓口を書く - 2送る
前 相手の国の決まりと、日本の個人情報保護法・特定電子メール法で求められること送り手の会社名と連絡先、配信を断る方法をメールに書く断られた相手を記録し、送らない✕ 推測で作った ✕ 買ったアドレスに 一斉に 送る リストに 同じ文を 一斉に 送る
集めるとき
- どこで手に入れた情報かを、行ごとに残しているか
- 名簿やデータベースの利用条件で、営業の連絡やメール送信に使ってよいか
- 必要な項目だけを集めているか
ヨーロッパの相手に声をかけたいというご相談では、GDPRの心配がよく出ます。その場合、COSPALinksの支援では、担当者の情報を表計算のファイルに書き出して受け渡しすることはせず、LinkedInの中のリストで扱い、社内で共有するのはプロフィールのURLだけにしています。
送る前
- 相手の国の決まりと、日本の個人情報保護法・特定電子メール法で、何が求められるか
- 送り手の会社名と連絡先、配信を断る方法をメールに書いているか
- 断られた相手を記録し、送らないようにしているか
判断に迷うときは、弁護士など専門家に確かめます。LinkedInで声をかけるときも、規約に沿って、担当者本人のアカウントから一人ひとりに送ります。
作ったリストを使い続ける:更新と記録の回し方
リストは、作った日から古くなります。担当者は転職や異動をし、会社は移転や合併をするので、決まった間隔で手入れをします。
- 毎日: 新しく見つけた会社と人を足し、声をかける。LinkedInでは、保存した検索の新着を見る
- 毎週: 状態の列を更新する。返信には2〜3日以内に答え、3〜4往復で資料や面談につなげる
- 毎月: 集め方ごと・国ごとに、承認・返信・面談の数を比べ、条件と集め方を見直す。対象でないと分かった行は外す
承認や返信の割合は国や相手でかなり変わるので、国ごとに分けて比べます。出どころの列があれば、どの集め方から面談が生まれたかも分かり、成果の出た集め方に時間と費用を寄せられます。
支援の現場では、リストが古くなるだけでなく、使い切ってしまうこともあります。最近投稿している反応のよい人から声をかけていくと、数か月でその層が少なくなり、承認が下がってきます。そうなったら周辺の業種に広げます。長く続けた会社では、新しい申請をやめて、すでに接点のある相手に改めて連絡する形に切り替えた例もあります。
つながった相手を自社の企業ページのフォローに招待しておくと、担当者が変わっても会社の資産として残ります。Sales Navigatorの保存検索とリストを使った毎日の回し方は「Sales Navigatorのリスト作成と保存検索」、LinkedInの中でのリードリストの作り方は「LinkedInのリード獲得方法を解説」で解説しています。
海外企業リストづくりでよくある失敗
- 件数を集めることが目的になる: 声をかけない行が増えるだけです。毎日の作業で回しきれる数から始めます。
- 会社のリストで止まる: 誰に送るかが決まらず、代表の窓口あての連絡で終わります。会社ごとに、話す相手を1〜2人決めます。
- 買ったリストに、同じ文を一斉に送る: 返信が少ないうえ、相手の国の決まりに触れるおそれがあります。
まとめ
- 海外企業リストは、会社を集め、担当者を見つけ、記録と更新を続けて作る
- 展示会の出展者一覧・業界団体の名簿・企業登記・企業データベースは会社を拾うのに、LinkedInは担当者まで知るのに向く
- 国・業種・規模で会社を絞り、その中で製品を選ぶ立場の役職を絞る
- 項目には、出どころと日付、選んだ理由、状態、断りの記録を入れる
- 個人情報とメール送信は、利用条件と相手の国の決まりを送る前に確かめる
COSPALinksは、LinkedInを使った海外営業を支援しています。狙う国と相手の決め方から、声をかける相手のリストづくりまでの進め方を、資料ライブラリにまとめています。
よくある質問
A作れます。展示会の出展者一覧、業界団体の公開の名簿、企業登記の無料の検索、無料のLinkedInで、会社と担当者を手で集められます。条件を細かく絞りたくなったら、企業データベースの試用や、1か月無料で試せるSales Navigatorで確かめてから決めます。
A多くの会社をまとめて出したいなら企業データベース、担当者まで知って声をかけたいならLinkedInが向いています。データベースで会社を出し、LinkedInで担当者を探す組み合わせもできます。
A送る前に、名簿やデータベースの利用条件でメールでの営業に使ってよいかと、相手の国の個人情報とメールの決まりを確かめます。送るときは、会社名と連絡先、配信を断る方法を書き、断られた相手には送りません。
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