海外バイヤーの
この記事でわかること
- 購買・調達、販売・事業開発、経営層の英語の役職名と、日本語での近い呼び方
- 製造・商社・小売・代理店で、窓口になる役職がどう変わるか
- LinkedInで役職名を複数入れて探す方法と、申請する順番
結論:購買・調達の担当から入り、小さな会社や代理店は販売の責任者と経営層から入る
海外の買い手に声をかけるときの英語の役職名は、次の3つのグループで押さえます。
- 購買・調達(買う人): Purchasing Manager、Procurement Manager、Buyer など。製品を買う実務と、条件の交渉を受け持ちます。
- 販売・事業開発(売る人、つなぐ人): Sales Director、Business Development Manager など。輸入して売る会社や代理店では、扱う商品の窓口になります。
- 経営層(会社の方向を決める人): CEO、President、Managing Director、General Manager など。
大きな会社なら、LinkedInで最初に申請する相手は購買・調達の担当者や管理職です。購買の専任が見当たらない小さな会社や、代理店・販売店なら、販売の責任者や経営層から入ります。英語には「決裁者」という役職名がなく、誰が決めるかは会社の決め方で変わるからです。
この記事では、英語の役職名と日本語の対応、会社の種類と大きさによる窓口の違い、LinkedInで役職名を入れて探す方法、申請の順番をまとめます。国・業界・役職を決める順番そのものは「LinkedIn海外営業のターゲット設定|国・業界・役職の決め方と、相手の人数の確かめ方」で解説しています。
英語の役職名は3つのグループで押さえる
役職名は会社ごとに違います。それでも、同じ仕事を指す言い方はいくつかに絞れます。
- 1買う
人 購買・調達 Purchasing ManagerProcurement ManagerPurchasingDirector ProcurementDirector ChiefProcurement BuyerPurchasing AgentProcurement SpecialistOfficer (CPO) - 2売る
人、 販売・つなぐ 人 事業開発 Sales ManagerSales DirectorRegionalSales Manager NationalSales Manager Business Development Manager - 3会社の
方向を 経営層CEOPresidentManaging DirectorGeneral ManagerOperations Manager決める 人
この記事の英語の役職名は、米国労働省の職業データベース「O*NET」に載っている実際の役職名の例と、米国労働統計局の職業案内「Occupational Outlook Handbook」の説明で確かめたものだけを選びました。日本語は、意味に近い呼び方です。会社によって呼び方も権限も違うので、役職名は相手を見つける手がかりとして使い、プロフィールの職歴と担当で確かめます。
購買・調達(買う人)
購買(Purchasing)と調達(Procurement)は、どちらも会社が必要なものを買う仕事です。O*NETは、Purchasing Manager と Procurement Manager を、同じ職業(購買の管理職)の役職名の例として並べています。呼び方の違いで、同じ仕事を指すことが多いと考えてかまいません。
| 英語の役職名 | 近い日本語 | 見るポイント |
|---|---|---|
| Purchasing Manager、Procurement Manager | 購買部長、調達マネージャー | 購買の担当者をまとめる管理職。仕入れ先の選定や条件の交渉に関わる |
| Purchasing Director、Procurement Director | 購買(調達)本部長 | 購買部門を率いる責任者 |
| Strategic Sourcing Director、Category Purchasing Manager、Commodity Manager | 戦略調達の責任者、品目ごとの購買責任者 | 仕入れ先を探して選ぶ、または買う品目ごとに受け持つ。品目で担当が分かれる会社の呼び方 |
| Materials Manager、Materials Director | 資材部長、資材の責任者 | 部品や材料の手配を受け持つ。購買を「資材」と呼ぶ会社もある |
| Chief Procurement Officer(CPO) | 最高調達責任者 | 調達全体を受け持つ役員 |
| Buyer、Purchasing Agent、Procurement Specialist、Purchaser | 購買担当、調達担当者 | 買う実務の担当。最初に声をかける相手の候補 |
| Retail Buyer、Grocery Buyer | 小売・食品の仕入れ担当 | 売るために商品を仕入れる担当。Wine Buyer のように品目を頭につけた役職名もある |
表の読み方で押さえたい点は3つあります。
- 「Buyer」には2つの意味があります。 米国労働統計局の職業案内は、組織が使うものを買う担当(purchasing agent)と、売るために仕入れる担当(wholesale and retail buyer)を分けています。相手が工場なら前者、卸・商社・小売なら後者です。相手の種類ごとの話の入口は「海外バイヤーの見つけ方・探し方」にまとめています。
- 「Procurement」と「Purchasing」は、両方を探します。 会社によってどちらかしか使わないので、片方だけで探すと取りこぼします。
- 「Sourcing」は、仕入れ先を探す仕事です。 部品や材料を扱う会社に、貴社の製品を売り込むときは、この役職も候補に入れます。
販売・事業開発と、経営層(売る人、つなぐ人、決める人)
輸入して売る会社や、代理店・販売店では、販売や事業開発の担当が、扱う商品を決める窓口になります。
| 英語の役職名 | 近い日本語 | 見るポイント |
|---|---|---|
| Sales Manager、Sales Director | 営業部長、営業の責任者 | 商品やサービスが顧客に届くまでを計画し、指揮する |
| Regional Sales Manager、National Sales Manager、Sales VP | 地域・国内の営業責任者、営業担当の副社長 | 国や地域ごとに販売を受け持つ。狙う国の担当を探す |
| Business Development Manager | 事業開発の担当 | 新しい顧客・提携先・販路を探し、条件を交渉する |
| CEO、President | 最高経営責任者、社長 | 会社の方針と全体の方向を決める |
| Managing Director | 経営の責任者 | 「大きな会社や組織の責任者」という意味の役職名 |
| General Manager(GM)、Operations Manager、Operations Director | 事業部長、工場長・運営の責任者 | 購買のような1つの分野に収まらない、広い範囲を見る |
Business Development(事業開発)は、既存の事業の外へ広がる道を探す仕事です。米国の大学の経営大学院の案内では、見込みの顧客や提携先を探し、条件を交渉する仕事として説明されています。代理店の候補を探すときは、この役職を入れます(探し方は「海外代理店の探し方・見つけ方」)。
経営層の肩書は、会社によって違います。CEO、President、Managing Director のどれが一番上かは、会社しだいです。肩書の上下で相手を決めつけず、会社の人数とプロフィールの担当を見ます。General Manager や Operations Manager は、購買の専任がいない会社で、仕入れの話が回ってくることがあります。
会社の種類と大きさで、窓口が変わる
同じ「バイヤー」でも、相手の会社によって話す相手が違います。米国労働統計局の職業案内では、購買の担当者が最も多く働いているのは製造業で、次いで卸売業です。製造・卸や商社・小売・代理店のそれぞれで、窓口になりやすい役職をまとめます。
- 部品や
材料を 大きな買う 製造業 購買・調達の Buyer使う管理職 側の 研究開発・ 設計の 責任者も 窓口。 買う 人と 使う 人の 両方と つながる - 購買の
専任が 小さないない ことがある 製造業 General ManagerOperations Manager経営層プロフィールの担当を 確かめる - 仕入れて
売る 卸・商社 BuyerPurchasing ManagerSales Manager売るために 仕入れる 担当。 品目ごとに 担当が 分かれる ことがある - 品目ごとの
仕入れ 小売RetailBuyer GroceryBuyer など 貴社の商品の 品目に 合う 担当を 探す - 販売や
事業開発が 代理店・窓口 販売店 Sales DirectorBusiness Development Manager経営層小さな販売店では、 経営者が 仕入れを 決めている ことがある
| 相手 | 窓口になりやすい役職 | 探すときの注意 |
|---|---|---|
| 大きな製造業(部品や材料を買う) | 購買・調達の管理職と Buyer。使う側の研究開発・設計の責任者 | 買う人と使う人が別。両方とつながる |
| 小さな製造業 | General Manager、Operations Manager、経営層 | 購買の専任がいないことがある。プロフィールの担当を確かめる |
| 卸・商社(仕入れて売る) | Buyer、Purchasing Manager、Sales Manager | 売るために仕入れる。扱う品目ごとに担当が分かれることがある |
| 小売 | Retail Buyer、Grocery Buyer など、品目別の Buyer | 貴社の商品の品目に合う担当を探す |
| 代理店・販売店 | Sales Director、Business Development Manager、経営層 | 小さな販売店では、経営者が仕入れを決めていることがある |
窓口の違いが分かる公開事例が2つあります。
- 製造業: 食品・飲料向けの素材をつくる京都グレインシステムは、原料の選定に関わるR&D(研究開発)の責任者と、購買の担当者の両方に接点を持つことを重視しました。買う人と使う人の両方に声をかけた例です。
- ホテル: シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルは、最終的な決定権を持つのがイベントプランナーであることから、「イベントプランナー」「グローバル・イベント・ディレクター」などの役職名で検索しました。日本での交通手配や現地の運営を受け持つDMC、MICE専門の旅行会社の担当者にも、役職名で直接声をかけています。
自社の製品を誰が買うのかを、先に決めておきます。製造業は「買う人と使う人」、商社や小売は「仕入れ担当」、ホテルのようなサービスは「利用する部門」が窓口になります。
LinkedInで役職名を入れて探す
役職名は、国・業界を決めたあとに入れます。人数の確かめ方は「LinkedIn海外営業のターゲット設定」、会社を集めてから人を探す順番は「海外企業リストの作り方」で説明しています。
- 1役職名を
複数入れる 言い換えを OR で つなぎ、 1回の 検索に まとめる - 2職種と
役職の Sales Navigatorは、段階でも 絞る 役職名の ほかに Function と Seniority level で 絞れる - 3結果が
少なければ、 Purchasing Agent、言い 換えを 足す Procurement Specialist など - 4結果が
多すぎれば、 業界と会社の 条件で 絞る 会社の 大きさを 先に 絞る - 5数人の
プロフィールを 職歴の開いて 確かめる 担当と 扱う 製品が、 狙う 相手と 合っているか - 6よい
条件は 保存検索に保存する すると、 新しく 当ては まった 人を 知らせてくれる
- 役職名を複数入れます。 同じ仕事でも呼び方が違うので、言い換えを OR でつなぎ、1回の検索にまとめます。2語以上の役職名は引用符で囲みます。事務の担当を外すときは NOT を使います。
("purchasing manager" OR "procurement manager" OR buyer) NOT assistantOR・NOT は半角の大文字で入れます。引用符とかっこも半角です。書き方の決まりは「LinkedIn検索の使い方」と、LinkedIn公式ヘルプ「Use Boolean search on LinkedIn」で確かめられます。 - Sales Navigatorでは、役職名のほかに「職種」と「役職の段階」で絞ります。 営業向けの有料ツールのSales Navigatorには、役職名(Current job title)、職種(Function)、役職の段階(Seniority level)で絞る条件があります。ブール検索の案内は、公式ヘルプ「Using Boolean Search on Sales Navigator」にあります。無料版には、役職の段階や会社の規模で絞る条件がありません。
- 結果が少なければ、言い換えを足します。 Purchasing Agent、Procurement Specialist を足すなど、同じ仕事の別の呼び方を並べます。
- 結果が多すぎれば、業界と会社の大きさで絞ります。 役職を先に狭めるより、会社の条件を先に絞るほうが、本当に狙う相手が残ります。
- 数人のプロフィールを開いて確かめます。 職歴の担当と扱う製品が、狙う相手と合っているかを見ます。
- よい条件は保存します。 保存検索にすると、新しく当てはまった人を知らせてくれます(設定は「Sales Navigatorのリスト作成と保存検索」)。
役職名で探すときの失敗
- 役職名を1つしか入れない。 「Purchasing Manager」だけで探すと、「Procurement Manager」の人を見落とします。
- 決裁者だけに絞る。 英語に「決裁者」という役職名はありません。決裁者だけに絞ると人数が少なくなり、申請が続きません。
- 同じ役職名なら、どの業界でも同じ役目だと考える。 あるホテルの支援では、金融の業界は承認が低めでした。探して当たる相手が、広報や投資家向け(IR)の担当になりやすかったためです。業界ごとに反応を見て、役職名の入れ方を見直します。
- 役職名だけで探す。 日本国内の相手を探した支援では、役職欄が空欄のプロフィールが多くありました。役職名の検索は、プロフィールに役職が書かれている人が対象です。会社や業界、職種の条件と組み合わせます。
申請する順番の考え方
同じ会社の中で、2〜3人に順番に申請します。実務の担当から、管理職、経営層の順に進めます。
- 1実務の
担当と、 Buyer、使う 側の 管理職 Purchasing Agent、 Procurement Specialist など。 製造業なら 研究開発・ 設計の 管理職。 話を 聞いて もらいやすい - 2管理職と
事業開発の Purchasing Manager、担当を 足す Procurement Manager、 Sales Manager、 Business Development Manager - 3経営層と
共通のGeneral Manager つながりが できてから。 大きな 会社では 後回しに する
- 買う実務の担当と、使う側の管理職から。 Buyer、Purchasing Agent、Procurement Specialist などの実務の担当や、製造業なら研究開発・設計の管理職です。話を聞いてもらいやすく、社内で情報を上げてくれる立場です。
- 購買・調達の管理職と、販売・事業開発の担当を足す。 Purchasing Manager、Procurement Manager、Sales Manager、Business Development Manager です。比べて検討する立場で、資料を渡すと話が進みやすくなります。
- 経営層と General Manager は、共通のつながりができてから。 大きな会社では、経営層への申請は後回しにします。経営トップに寄せて申請すると承認が低くとどまった例は、「海外企業リストの作り方」で触れています。
小さな会社や代理店・販売店は例外です。購買の専任が見当たらないので、経営層や販売の責任者から入ります。
承認率はざっくり2〜6割で、国や相手でかなり変わります。アジアは3〜6割狙えます。アメリカ・ヨーロッパは渋めで、2〜4割です。申請は1日10〜15分で回せる量に分けます。申請のメッセージは、書けずに送らないより、なしでも送るほうがよいです。つながったあとの最初の1通は「つながり申請の後の「最初の1通」」で解説しています。
まとめ
- 海外バイヤーの役職名は、購買・調達、販売・事業開発、経営層の3グループで押さえる
- 購買・調達は、Purchasing / Procurement の両方を入れて探す。Buyer は、自社で使うものを買う担当と、売るために仕入れる担当の2つの意味がある
- 窓口は会社の種類で変わる。大きな製造業は買う人と使う人、商社や小売は仕入れ担当、代理店は販売の責任者と経営層
- 英語に「決裁者」という役職名はない。同じ会社の複数の人とつながる
- LinkedInでは、役職名を OR でまとめて入れ、結果の人数を見て言い換えと絞り込みを直す
- 申請は、実務の担当→管理職→経営層の順。小さな会社と代理店は経営層から入る
COSPALinksは、LinkedInを使った海外営業を支援しています。国・業界・役職の決め方から、最初の1通の書き方、展示会や代理店と組み合わせた進め方までを、資料ライブラリにまとめています。
よくある質問
A同じ仕事を指すことが多い言葉です。O*NETも、Purchasing Manager と Procurement Manager を同じ職業の役職名の例に並べています。LinkedInでは、両方を OR でつないで入れます。
A決裁者にあたる役職名はありません。誰が決めるかは、会社の決め方と、買うものの金額や種類で変わります。購買の担当者が条件を詰め、使う側の責任者が選び、経営層が承認する、というように複数の人が関わる会社もあります。決裁者だけに絞らず、同じ会社の複数の人とつながります。
AGeneral Manager、Operations Manager、経営層に声をかけます。O*NETは、General Manager などの仕事を、購買のような1つの分野に収まらない広い範囲を見るものと説明しています。購買の専任がいない会社では、仕入れの話もこの立場の人に回ることがあります。プロフィールの担当で、仕入れに関わる人かを確かめます。
A探せます。人の検索に役職名の言葉を入れ、OR などで言い換えをまとめられます。ただし、役職の段階(Seniority level)や会社の規模で絞る条件は、Sales Navigatorにあります。無料版の使い方と限界は「[LinkedIn検索の使い方](/column/1071)」で解説しています。
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