海外からの
この記事でわかること
- 海外からの問い合わせが、メールだけでは成約まで進まない5つの理由
- 問い合わせた人をLinkedInで確かめ、「決める人/調べている人/合わない相手」に分ける見方
- メールとLinkedInを並べて、オンライン面談まで進める連絡の手順
結論:問い合わせは「すぐ返し、確かめて分け、人どうしでつながる」
海外からの問い合わせは、こちらから声をかけた相手より、ずっと商談に近い相手です。支援の現場でも、電話の営業で比べると、こちらからかけた相手より、問い合わせてきた相手のほうが、面談の約束が取れる割合はけた違いに高い、という話がよく出ます。それでも成約まで進まないのは、問い合わせを受けたあとの進め方で止まっているからです。
進め方の要点は3つです。
- すぐ返す: 受け取った日のうちに、遅くとも翌営業日に、質問への答えと次の一歩を1つ返す
- 確かめて分ける: 問い合わせた人をLinkedInで確かめ、「決める人」「調べている人」「合わない相手」に分けて、手間のかけ方を変える
- 人どうしでつながる: 問い合わせた人とLinkedInでもつながり、メールと並べて連絡する。必要なら、同じ会社の決める人・使う人にもつながる
海外からの問い合わせが成約しない5つの理由
1. 返信が遅く、時差で1往復に何日もかかる
社内で確認を重ねてから返すと、時差もあって1往復に何日もかかり、その間に相手はほかの会社と話を進めます。
2. 資料を送って終わり、次の一歩がない
カタログと価格表を送って「ご検討ください」で終えると、相手は次に何をすればよいか分かりません。質問に答えたうえで、「仕様を確かめる短いオンライン面談」「サンプルの条件の相談」など、次の一歩を1つだけ示します。
3. 問い合わせた人が、決める人とは限らない
問い合わせを送るのは、情報を集める担当者であることがよくあります。決めるのは、その上司や技術・購買の責任者です。問い合わせた人とだけ話していると、相手の社内で話が止まっても、こちらからは見えません。
4. メールだけの細い接点は、途切れやすい
メールは迷惑メールに振り分けられたり、ほかのメールに埋もれたりします。担当者が異動すると、それきり返事が来なくなります。
5. 相手から見て、こちらが誰か分からない
相手の手がかりは、会社のメールアドレスと英語サイトだけです。担当者の顔と経歴が見えないと、相手は社内で「この会社と話を進めよう」と言いにくくなります。
| 止まる理由 | 起きていること | LinkedInで足せること |
|---|---|---|
| 返信が遅い | 時差で1往復に何日もかかり、相手がほかの会社と話を進める | 当日中のメールに加え、つながって短い確認ができる窓口を持つ |
| 次の一歩がない | 資料を送って待つだけになる | 相手の役職と関心を見て、合う一歩(面談・資料・サンプル)を選ぶ |
| 決める人が見えない | 問い合わせた人の社内で話が止まる | 職歴と会社の社員から、決める人・使う人を確かめる |
| 接点が細い | 迷惑メール・不在・異動で途切れる | 人どうしでつながり、相手が会社を移っても連絡先が残る |
| こちらが見えない | 会社のアドレスとサイトしか手がかりがない | 顔写真と経歴のあるプロフィールで、担当者を確かめてもらえる |
LinkedInを使ったほうがいいか:メールの代わりではなく、横に並べる
LinkedInは仕事のためのSNSで、200以上の国と地域で14億人以上が登録しています(About LinkedIn)。海外のBtoBの相手は、名前と会社名で探すと、役職や職歴まで分かることが多く、問い合わせの対応に足すと役立ちます。
LinkedInを足したほうがよいのは、次のような場合です。
- 仕様の確認やサンプルの評価をはさみ、決めるまでに時間がかかる
- 使う人・技術・購買など、決めるのに何人も関わる
- 問い合わせの数は少ないが、1件ごとの重みが大きい
逆に、問い合わせからそのまま小口の注文が入る商材や、相手が個人の消費者の場合は、メールとサイトの対応を整えるほうが先です。
| 場面 | メールだけの対応 | メール+LinkedIn |
|---|---|---|
| 相手を確かめる | メールの署名と会社のサイトだけ | 役職・在籍の長さ・同じ会社の社員まで分かる |
| 届いたかどうか | 返事が来るまで分からない | 申請の承認やメッセージの返事で、届いていることが分かる |
| 関わる人 | 問い合わせた人1人 | 決める人・使う人にもつながれる |
| 返事が止まったとき | 追いかけのメールを重ねるしかない | 投稿や相手の近況への反応で、売り込まずに接点を保てる |
見積もりや契約のやり取りは、これまでどおりメールに残します。LinkedInは、メールが届きにくい場面を補い、人と人の関係を残すために使います。
先に整える:問い合わせた人が確かめに来るアカウント
返事を受け取った相手は、たいてい担当者と会社を調べます。そのときに見つかるアカウントを、先に整えておきます。
主役は担当者の個人アカウント
- LinkedInの企業ページからは、つながり申請もメッセージも送れません。問い合わせに対応する担当者が、個人アカウントを持ちます。
- 個人アカウントを仕事に使うのは、海外では標準です。つながった相手を企業ページのフォローに招待しておけば、つながりは会社の資産にもなります。
- 登録の手順は「LinkedInの登録方法|初心者向けのアカウント作成手順」にまとめています。
プロフィールは「この人に任せて大丈夫か」に答える形に
- 顔写真と名前: 名前は英語の表記にします。顔が見えると、初めての会社からの連絡でも相手は安心します。
- 見出し: 会社名と担当(たとえば「Overseas Sales, industrial components」)に加えて、どんな相手のどんな課題を助けるかを短く書きます。
- 職歴と企業ページ: 今の会社の職歴を企業ページにつなげ、企業ページには会社のサイトのURLを載せます。
- 自己紹介: 扱う製品の分野と対応できる国を、英語で数行にまとめます。
書き方の例は「LinkedInプロフィールの書き方を例文付きで解説」にあります。英語の文は、AI翻訳で下書きを作り、名前・会社名・数字を見直せば十分です。
あわせて、問い合わせに返すメールの署名に、自分のプロフィールのURLを入れておきます。相手がメールから担当者を確かめられ、つながる入口にもなります。
問い合わせの対応だけなら、無料のアカウントで始められます。似た会社や関係者を探すようになったら、有料のSales Navigatorを検討します。機能はSales Navigatorの使い方(LinkedIn公式)で確かめられます。
問い合わせた人をLinkedInで確かめ、3つに分ける
確かめること
問い合わせのフォームやメールにある名前と会社名で、LinkedInを探します。見るのは次の4つです。
- 役職と部署: 購買・技術・経営など、どの立場の人か
- 在籍: その会社に今いるか、どれくらい長いか
- 会社: 企業ページの業種・規模・所在地と、社員の顔ぶれ
- 決める立場か: 本人が決めるのか、上司や別の部署が決めるのか
LinkedInを使っていない人もいるので、見つからないことだけで見込みなしとは決めません。会社が本当にあるか、本当に買うつもりがあるかの見方は「海外バイヤーの見つけ方・探し方|本物で本気の買い手の見分け方」の表にまとめています。
「決める人/調べている人/合わない相手」に分ける
- 決める
人 用途・数量・ 時期を 具体的に 聞く - 調べている
人 比べるための 資料や 価格を 求める - 合わない
相手 会社が確かめられない
| 分け方 | 見分けるサイン | 手間のかけ方 |
|---|---|---|
| 決める人 | 部長・事業の責任者・経営者。用途・数量・時期を具体的に聞く | 担当者が直接対応する。すぐにつながり、オンライン面談を提案する |
| 調べている人 | 担当者・技術の調査役。比べるための資料や価格を求める | 資料を早く返し、つながって関係を保つ。決める人が誰かを聞き、その人にも回せる資料を渡す |
| 合わない相手 | 学生・売り込み・扱いのない用途や地域。会社が確かめられない | 丁寧に短く返す。追いかけの連絡は送らない |
問い合わせの多くは「調べている人」です。見込みが薄いのではなく、決める人への入口と考えます。用途・仕様・導入の流れを英語で1枚にまとめて渡すと、相手が社内で説明しやすくなります。
展示会で集めた名刺を、商談の確度で分けて進める方法は「海外展示会のリードを商談化する方法」で解説しています。問い合わせの場合は、相手が自分から来ているぶん、「誰が来たか」で分けると、次の一手を決めやすくなります。
メールとLinkedInを並べて、面談まで進める手順
- 受け取った
日の 質問へのうちに、 メールで 返す 答えと、 次の 一歩を 1つだけ - 同じ
日に、 問い合わせへのつながり 申請を 送る 返事と 同じ 日なら、 自然な 申請 - つながったら、
メールが 迷惑メールに届いたか 確かめる 入っていても、 ここで 気づいて もらえる - 必要なら、
決める 企業ページの人・ 使う 人に も つながる 社員一覧から。 問い合わせた 人を 飛び 越さない - 返事が
止まったら、 製品の投稿で 接点を 保つ 使われ 方や 開発の 現場の 話 - 返事が
来たら、 2〜3日以内にオンライン面談へ 答え、 3〜4往復を 目安に
1. 受け取った日のうちに、メールで返す
質問への答えと、次の一歩を1つだけ書きます。相手の業務時間に届くよう、時差を見て送ります。たとえば日本の夕方に送ると、ヨーロッパでは朝のうちに届きます。英文メールの型は「英語の営業メールの書き方と例文」を参考にしてください。
2. 同じ日に、LinkedInでつながり申請を送る
メールを送ったら、問い合わせた人にLinkedInでつながり申請を送ります。問い合わせへの返事と同じ日なら、相手にとっても自然な申請です。一文を添えるなら、誰からの申請か分かるようにします。
Thank you for your inquiry. I’m the person who replied to you by email today, and I’d be glad to stay in touch here. (お問い合わせありがとうございます。本日メールでお返事した担当です。こちらでもつながっていただけるとうれしいです。)
一文を書けずに送らないより、メッセージなしでも送るほうが前に進みます。
自分から手を挙げた相手でも、担当者から個別に一言届くかどうかで、次の一歩に進むかが変わります。LinkedInでイベントを開いた例でも、参加を表明した人に個別のメッセージを送ると、送らなかったときより、当日に参加する人がはっきり増えました。問い合わせも同じで、会社の窓口からの返事に、担当者本人からの一言を重ねます。
3. つながったら、メールが届いているかを確かめる
承認されたら、お礼と一緒に「メールで資料をお送りしました」と短く伝えます。迷惑メールに入っていても、ここで気づいてもらえます。売り込みは書きません。
4. 必要なら、同じ会社の決める人・使う人にもつながる
問い合わせた人が「調べている人」だった場合は、その会社の企業ページの社員一覧から、決める立場の人や、製品を使う部署の人を探します。役職名の読み方は「海外バイヤーの役職名を英語で」が参考になります。
気をつけたいのは、問い合わせた人を飛び越さないことです。
- 問い合わせの中身を、本人の了解なく、同じ会社のほかの人に伝えない
- ほかの人への申請は、あいさつにとどめる
- いちばん自然なのは、問い合わせた人に「ほかにご一緒に話せる方はいますか」と聞き、紹介してもらうこと
5. 返事が止まったら、投稿で接点を保つ
メールの追いかけは回数を決めて止め、LinkedInのつながりを残して待ちます。製品の使われ方や開発の現場の話を投稿しておくと、相手の目に自然に触れます。相手が投稿に反応したときが、もう一度声をかける合図です。進め方は「LinkedInの投稿で見込み客を育てる方法」で解説しています。
6. 返事が来たら、オンライン面談へ
返事が来たら2〜3日以内に答え、3〜4往復を目安に、短いオンライン面談を提案します。日程の出し方と初回の面談の流れは「海外バイヤーから返信が来たら|最初のオンライン商談までの進め方」に、返事に使える英文は「LinkedInの英語メッセージ例文集」にまとめています。
問い合わせの記録を、自分から声をかける相手選びに生かす
問い合わせは、どんな会社が貴社の製品を探しているかを教えてくれる材料です。1件ごとに、次のことを残します。
- どこから来たか(検索広告・SNS広告・サイトの検索など)と、何を見て問い合わせたか
- 会社の業種・規模・国と、問い合わせた人の役職
- 3つのどれに分けたか、LinkedInでつながったか
- 返事・面談・見積もりのどこまで進んだか
件数がたまると、商談まで進みやすい会社と役職が見えてきます。その条件で、まだ問い合わせてきていない似た会社を探し、LinkedInで自分から声をかければ、問い合わせを待つ営業と、会いに行く営業を組み合わせられます。条件の決め方は「LinkedIn海外営業のターゲット設定」で解説しています。ウェブサイトを見ての問い合わせを待つ形から、LinkedInで自分から声をかける形に広げた例は「サーティファイ様の導入事例」で紹介しています。つながっても商談にならないときの見直し方は「LinkedIn営業を自分でやったが商談にならない」にまとめています。
まとめ
- 海外からの問い合わせは商談に近い相手。成約しないのは、受けたあとの進め方で止まっていることが多い
- 止まる理由は、返信の遅さ、次の一歩がないこと、決める人が見えないこと、メールだけの細い接点、こちらが見えないこと
- 問い合わせた人をLinkedInで確かめ、「決める人/調べている人/合わない相手」に分けて、時間のかけ方を変える
- メールで返した日にLinkedInでもつながり、必要なら同じ会社の決める人・使う人にも広げる。問い合わせた人は飛び越さない
- 返事が止まったら投稿で接点を保ち、返事が来たらオンライン面談へ。問い合わせの記録は、自分から声をかける相手の条件に生かす
COSPALinksは、LinkedInを使った海外営業を支援しています。問い合わせの対応にLinkedInを組み合わせる進め方や、プロフィールとメッセージの型は、資料ライブラリにまとめています。
よくある質問
A失礼ではありません。LinkedInは仕事の相手とつながるための場です。問い合わせへの返事と同じ日に、誰からの申請か分かる一文を添えれば自然な流れです。一文を書けないときは、メッセージなしで構いません。
A企業ページの社員一覧や会社のサイトで確かめ、メールで対応を続けます。無料のメールアドレスだけで会社名も分からないときは、用途と会社を聞いてから資料を送ります。
Aメールの追いかけは2回までが目安です。それ以上送ると、売り込みのメールと受け取られやすくなります。LinkedInでつながっていれば、投稿で接点を保ち、相手が反応したときに、その話題から短く声をかけます。
Aやめる必要はありません。広告やサイトは、いま製品を探している人の問い合わせを集める仕組みで、LinkedInは、問い合わせてこない人(同じ会社の決める人や、似た会社の担当者)に会いに行く仕組みです。役割が違うので組み合わせます。LinkedInの中での広告と営業の違いは「[LinkedIn広告とLinkedIn営業の比較](/column/linkedin-ads-vs-sales)」で比べています。
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