医療機器・ヘルスケア機器の
この記事でわかること
- 医療機器・ヘルスケア機器の売り先の登場人物と、LinkedInで先に当てる順番
- 承認・認証で相手が最初に確かめること(米国・EU・日本の公式の案内の入口)と、各国の公式窓口での確認の進め方
- LinkedInで発信してよい事実と、書かない言い方。MEDICAなどの展示会との使い分け
結論:先に「誰に、どの順で」を決め、承認・認証は相手に確かめ、発信は事実にとどめる
医療機器・ヘルスケア機器の売り先は、現地の販売代理店・ディストリビューター、メーカーの事業開発、病院やクリニックの調達、臨床側の4つの立場に分けられます。LinkedInなら、国・業界・役職で相手を選び、日本から担当者本人に声をかけられます。
押さえることは、次の3つです。
- 先に当てる相手の順番を決める。 完成品なら、現地で登録、輸入、販売を担える販売代理店・ディストリビューターから始めます。
- 承認・認証は、相手が最初に確かめそうな点。 国と製品で手続きが違い、可否は製品ごとに決まります。各国の公式窓口で確認します。
- 発信は、技術・品質・認証の事実にとどめる。 医療機器の広告・宣伝には、国ごとの規制があります。効果や安全性を保証する言い方は書きません。
介護・リハビリ機器、医療用消耗品、検査・診断関連の機器は、医療機器に当たるかどうかが製品と国で変わります。医薬品は扱いません。
医療機器の売り先の登場人物:4つの立場と、LinkedInで当てる順番
- 現地の
販売代理店 自国で登録や 輸入を 担えるか - メーカーの
事業開発 提携や共同販売で 組めるか - 病院・
クリニックの 納入の調達 条件、 既存品との 入れ替え、 供給と 保守 - 病院・
クリニックの 現場で臨床側 使えるか、 既存の 手順に 合うか
| 相手(番号は完成品の場合の順番) | 気にすること | LinkedInで探す言葉の例 |
|---|---|---|
| 1. 現地の販売代理店・ディストリビューター | 自国で登録や輸入を担えるか。売り先に届けられるか | distributor、importer、Product Manager、Regulatory Affairs Manager |
| 2. メーカーの事業開発・開発 | 提携や共同販売で組めるか。部品なら、自社の製品に使えるか | Business Development、R&D Manager、Sourcing |
| 3. 病院・クリニックの調達 | 納入の条件、既存品との入れ替え、供給と保守 | Procurement Manager、Supply Chain |
| 4. 病院・クリニックの臨床側(医師、看護師、技師、工学技士) | 現場で使えるか、既存の手順に合うか | Biomedical Engineer、Clinical Engineer |
ディストリビューター(distributor)は、製品を仕入れて、自国の病院や販売先に売る会社です。輸入者(importer)を兼ねることもあります。
なぜ、販売代理店から当てるのか
欧州委員会の製造者向けの資料は、EU/EEA(欧州経済領域)の外の製造者はEU/EEA内の認可代理人(現地に置く窓口)と契約するとし、認可代理人、輸入者、販売者の義務にも触れています。米国のFDAも、製造者に加えて初期の販売者(輸入者)に施設の登録を求めています。売り先の国で登録や輸入を担う会社に役目があるため、現地の販売代理店・ディストリビューターが、販路の入口になる場面があります。
病院や臨床側を後にする理由は、2つです。病院の買い方(販売店を通すか、直接か)は国と病院で違い、販売代理店の決定前に話を持ち込むと、窓口が二重になるおそれがあります。また、臨床側への製品の話が広告・宣伝の規制とどう関わるかは、国と製品ごとに確かめる必要があります。
売るものの形で、順番は変わります。
- 完成品(検査・診断関連の機器、リハビリ機器など): 販売代理店 → メーカーの事業開発(提携や共同販売)→ 病院の調達 → 臨床側
- 部品・素材・受託加工: メーカーの開発・事業開発 → 必要に応じて販売代理店
これは、公式の案内から導いた考え方です。貴社の製品と国に合わせて、入れ替えて構いません。探し方は「海外代理店の探し方・見つけ方」、契約は「海外代理店契約の基本」、買い手全般は「海外バイヤーの見つけ方・探し方」で解説しています。
メーカーの開発責任者に絞った例:狭山金型製作所
部品の側の例として、狭山金型製作所があります。医療機器・半導体分野向けの金型とマイクロ成形を提供する精密加工メーカーで、投稿中心の運用から、Sales Navigatorで業界・役職・技術関心領域を軸に、医療機器・半導体分野のR&D責任者や技術リーダー層に絞る形に切り替え、1か月で新規の接点217件、有望リード15件になりました。完成品を売る会社とは売り先が違います。製造業の相手の絞り込みは「製造業のLinkedIn活用」にまとめています。
承認・認証は、相手が最初に確かめること:米国・EU・日本の公式の案内
医療機器は、国ごとに売る前の承認・認証・届出・登録の仕組みが決まっていて、何が必要かは製品の分類と用途で変わります。個別に確認が必要です。ここでは、相手が最初に確かめそうな点と、公式の案内の入口をまとめます。細かい中身は、各国の公式窓口で確認してください。
| 国・地域 | 公式の案内にあること | 貴社が先にそろえること |
|---|---|---|
| 米国(FDA) | クラスI・II・IIIに分かれ、上がるほど規制が強くなる。多くのクラスIIは510(k)、多くのクラスIIIは市販前承認(PMA)が必要。製造者(国内外)と初期の販売者(輸入者)は施設登録が必要。外国の製造者は米国代理人(U.S. Agent)を指定する | クラスの見立て、510(k)などの番号、施設登録、米国代理人 |
| EU(欧州委員会) | 医療機器の規則(EU)2017/745(MDR)と、体外診断用の規則(EU)2017/746(IVDR)。製造者は、リスク分類に応じた手続きのあとでCEマークを付ける。クラスIIa・IIb・IIIと一部のクラスIは、ノーティファイドボディ(第三者機関)が関わる。EU/EEA外の製造者は、EU/EEA内の認可代理人と契約する | CEマークの状況、ノーティファイドボディの証明書、認可代理人 |
| 日本(PMDA) | クラスIは届出。クラスIIは、認証基準があれば第三者認証機関の認証。クラスIII・IVは厚生労働大臣の承認で、PMDAが審査する | 日本での区分と、届出・認証・承認の状況 |
出典は、FDAの医療機器規制の概要(2026年1月30日時点の表示)、欧州委員会の製造者向けの資料(2020年8月付)と医療機器のページ、PMDAの医療機器のページです。EUの資料は2020年付なので、最新は欧州委員会のページで確かめます。国ごとの規格は「アメリカの販路開拓」「ドイツ・ヨーロッパの販路開拓」でも触れています。
日本の承認・認証と、輸出先の手続きは分けて確かめる
日本の手続きは、日本の仕組みです。輸出先で売れるかは輸出先の手続きで決まるので、輸出先の窓口で別に確かめます。話が具体的になったら、販売代理店に次のように聞きます。
- Which classification and pathway do you usually handle for this type of device?
- Which parts of the registration would your company handle?
- Which documents do you need from us first?
最初の1通では聞かず、つながったあとの質問に1つずつ使います。型は「つながり申請の後の「最初の1通」」、英文の例は「LinkedInの英語メッセージ例文集」で解説しています。
取得の状況は、正式な名前で、事実だけ書く
「FDA承認」「CE取得」のような略し方は、相手が別の意味に受け取ることがあります。FDAの案内は、施設登録と、510(k)やPMAのような市販前の手続きを、別の項目として説明しています。登録していることを「承認された」とは書きません。手続きの正式な名前(510(k)、CEマーク、届出、認証、承認)、番号、対象の製品、状況(取得済み、申請中、予定)を、そのまま書きます。
品質マネジメントの規格に、ISO 13485があります(ISOの案内)。認証を取っているなら、認証機関の名前、対象の範囲、有効期間を事実として書きます。
LinkedInの発信は、技術・品質・認証の事実にとどめる
日本では、医薬品医療機器等法(薬機法)に広告の規制があり、対象に医療機器も含まれます。厚生労働省の「医薬品等の広告規制について」は、第66条(誇大広告等)と、第68条(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)を案内しています。海外にも、国ごとの決まりがあります。LinkedInの投稿やメッセージが広告に当たるか、何を書いてよいかは、製品と国で変わり、個別に確認が必要です。ここでは規制の判断はせず、事実だけを書く線を示します。
書くこと(事実)
- 仕様: 材質、寸法、精度、対応している規格、製造の工程
- 品質・認証: 取得している認証の名前と範囲、手続きの正式な名前、番号、状況
- 会社の事実: 製造拠点、設備、対応できるロット、納期
書かないこと
- 治療・診断などの効果や、安全性を保証する言い方
- 承認・認証を実際より広く見せる言い方。承認や認証が済んでいない製品を、販売できるように読ませる書き方
- 臨床の結果、症例の写真、患者や医師の声、医療従事者や患者への呼びかけ。確認がつくまで載せません
- 仕様材質、
寸法、 精度、 対応している 規格、 製造の 工程 - 品質・
認証 認証の名前と 範囲、 手続きの 正式な 名前、 番号、 状況 - 会社の
事実 製造拠点、設備、 対応できる ロット、 納期
- 効果や
安全性を 保証する 言い方 - 承認・
認証を 実際より 広く 見せる 言い方 - 臨床の
結果、 症例の 写真、 患者や 医師の 声
投稿の前に、薬事の担当者または専門家が見る流れを決めておきます。プロフィールの書き方は「LinkedInプロフィールの書き方」、投稿で接点を保つ方法は「LinkedInの投稿で見込み客を育てる方法」で解説しています。
LinkedInで届く手順:国と製品を絞り、販売代理店から声をかける
LinkedInは仕事のためのSNSで、200以上の国と地域で14億人以上が登録しています(LinkedIn公式「About LinkedIn」)。
1. 国と、売る製品を絞る
国は1〜2か国、製品は1つか1つの分野に絞ります。決め方は「LinkedIn海外営業のターゲット設定」にまとめています。
2. 会社を探す
Sales Navigator(LinkedInの営業向けの有料版)では、業界、会社の規模、担当業務、役職などで絞り込めます(LinkedIn公式「How to use LinkedIn Sales Navigator」)。LinkedInの業界の分類には、Medical Equipment Manufacturing(医療機器の製造)、Hospitals and Health Care(病院・ヘルスケア)などがあります。キーワードは、販売代理店なら distributor、importer、メーカーなら manufacturer、OEM に、製品の分野の言葉を足します。機能は「LinkedIn Sales Navigatorとは?」で解説しています。
3. 人を探して保存し、声をかける
候補の会社のサイトで、扱う分野と取引のある国を確かめ、話すべき人を探します。小さな会社では経営者(Owner、Managing Director)が窓口のことがあります。相手は、リストに保存します(Sales Navigatorのリスト作成と保存検索)。
声をかけるのは、貴社の担当者個人のアカウントからです。企業ページからは、つながり申請もメッセージも送れません。つながり申請が受け入れられる割合は、ざっくり2〜6割で、国や相手でかなり変わります。アジアは3〜6割を狙え、アメリカ・ヨーロッパは渋めで2〜4割です。業種を問わない目安で、医療機器に限った値ではありません。申請は1日10〜15分ほどで回せます。
- 全体ざっくりの
目安 2〜6割国や相手で かなり 変わる - アジア狙える
範囲 3〜6割 - アメリカ・
ヨーロッパ 渋め2前後割 - 0510
つながったら、お礼と、相手の取り扱いの分野を聞く短い質問を送ります。最初の1通で、効果や認証の取得を前面に出しません。返信は2〜3日以内に返し、3〜4回のやり取りで、資料や面談に進めます。申請の書き方は「LinkedInのつながり申請メッセージ例文とマナー」で解説しています。
展示会(MEDICAなど)とLinkedInの使い分け
ドイツ・デュッセルドルフで開かれるMEDICAは、公式サイトが次の開催を2026年11月16日から19日と案内しています(MEDICA公式サイト)。日程と条件は、公式サイトで確かめます。製品を見せる際の決まりも、国と主催者で違うことがあるので、出展の前に確認します。
展示会は、実物を見てもらえる点が強みです。LinkedInは、その前後をつなぐ手段として使います。
| 場面 | 展示会(MEDICAなど) | |
|---|---|---|
| 実物・操作感を見てもらう | 向いている。その場で触ってもらえる | 向いていない。写真、動画、仕様書が中心 |
| 開催の前 | 来場者が来るのを待つ | 会いたい販売代理店の責任者に、会場で会う提案を送る |
| 開催の後 | 名刺のまま止まりやすい | 会場で話した内容を引き継ぎ、仕様や必要な書類の相談に進める |
事前アポは「海外展示会の選び方・出展準備の流れ・費用と事前アポの取り方」、展示会の後は「海外展示会のリードを商談化する方法」、比べ方は「展示会とLinkedIn営業の比較」で解説しています。
医療機器の海外営業でよくある失敗
- 売り先の順番を決めず、販売代理店にも病院にも同じ文面を送る。 知りたいことが違うので、文面と資料を分けます。
- 「FDA承認」「CE取得」と略して書く。 手続きの正式な名前、番号、状況で書きます。
- 最初の1通で、効果や安全性を前面に出す。 規制のうえでも、読まれるうえでも、リスクです。最初は相手の取り扱いを聞きます。
まとめ
- 医療機器・ヘルスケア機器の売り先は、現地の販売代理店・ディストリビューター、メーカーの事業開発、病院の調達、臨床側の4つ
- 完成品は、現地で登録や輸入、販売を担える販売代理店から当てる。部品・素材は、メーカーの開発・事業開発が先
- 承認・認証は、相手が最初に確かめそうな点。各国の公式窓口で確認する
- 取得の状況は正式な名前と番号で書き、発信は仕様、品質、認証の事実にとどめる
- 展示会は実物を見せ、LinkedInはその前後をつなぐ
COSPALinksは、LinkedInを使った海外営業を支援しています。狙う国と相手の決め方から、展示会や代理店と組み合わせた進め方までを、資料ライブラリにまとめています。
よくある質問
ALinkedInには業界の分類があり、医療機器の製造などを選べます。ただし、国や製品の分野で、声をかけられる人数は違います。Sales Navigatorの1か月の無料トライアルの間に、条件ごとの人数を確かめてから国を決めます。確かめ方は「[ニッチな商材や小さな国でもLinkedIn営業は使える?](/column/3225)」で解説しています。
A国と製品で、広告・宣伝の規制が違い、個別に確認が必要です。最初は販売代理店から始め、臨床側へは、用途と現場の課題を聞く相談にとどめます。薬事の専門家に確認してから進めます。
A製品と国で変わり、個別に確認が必要です。当たるかどうかに関わらず、効果をうたう言い方の決まりが別にあるかも、専門家に確かめます。
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