LinkedInで
この記事でわかること
- アジア・アメリカ・ヨーロッパ・中東で、LinkedInの反応がどう違いやすいか
- 国ごとに記録して比べる数字と、比べるときの注意
- 反応を見て、申請を寄せる国・条件を変える国の決め方
結論:国の違いは「どの段で細くなるか」で読み、反応のよい国に寄せる
LinkedInの海外営業で、国ごとの反応を読むポイントは次の4つです。
- 地域の傾向は、確かめる仮説として持つ。 承認は全体でざっくり2〜6割。アジアは3〜6割を狙え、アメリカ・ヨーロッパは渋めで2〜4割です。国名だけで相手を決めつけず、貴社の数字で確かめます。
- 承認だけで比べない。 申請→承認→返信→やり取り→資料・面談のどの段で細くなるかを、国ごとに見ます。
- 時差と休みを差し引いて読む。 時差の大きい国とは、会話が1日1往復になりがちです。日数ではなく、往復の数で比べます。
- やめるより、寄せる。 反応のよい国に申請を増やし、反応の悪い国は条件を1つずつ変えて試します。
最初にどの国を選ぶかは、「LinkedIn海外営業とは?Sales Navigatorで海外顧客を開拓する方法と成功事例」の「国・地域の選び方」と、「LinkedIn海外営業のターゲット設定|国・業界・役職の決め方と、相手の人数の確かめ方」で解説しています。この記事は、始めたあとに国ごとの反応をどう読み、どう決めるかに絞ります。
地域ごとの反応の傾向:決めつけず、確かめる仮説にする
LinkedInは、200以上の国と地域で14億人以上が登録している、仕事のためのSNSです(About LinkedIn)。どの地域にも使っている人はいますが、申請への反応や会話の進み方には、地域ごとの傾向があります。
| 地域 | 承認の傾向 | 言語・時差・暦で気をつけること |
|---|---|---|
| 東アジア・東南アジア(中国本土を除く) | アジアは3〜6割を狙える | 英語で仕事をする人が多い国と、現地の言葉が中心の国が混ざる。時差が小さく、日本の業務時間にやり取りしやすい |
| 南アジア(インドなど) | アジアの目安を基準に、自社で測る | 英語で仕事をする人が多い。日本の午後が相手の午前 |
| 中国本土 | LinkedInは公式には使えない | WeChat、Baidu、小紅書など別の手段を考える |
| 中東 | 自社の数字で測る | 休みの曜日が国で違う。ラマダン(断食月)の時期は毎年ずれる |
| ヨーロッパ | 渋めで2〜4割 | 国ごとに言葉が違う。夏の休暇の時期は返事が止まりやすい |
| アメリカ | 渋めで2〜4割 | 時差が大きく、返信は日本の夜中から朝に届く |
この表は、地域ごとの「始めの見込み」です。同じ国でも、業界・会社の規模・役職で反応は変わります。
アジア:承認は得やすいが、国ごとに分けて見る
アジアは承認を得やすい地域ですが、ひとまとめにはできません。シンガポールやインドのように英語で仕事をする人が多い国もあれば、タイ・ベトナム・インドネシアのように、現地の言葉でやり取りする会社も多い国もあります。承認が多い国ほど、その先の返信と、資料・面談に進んだ数まで見て比べます。地域の拠点が集まるシンガポールの進め方は「シンガポールの販路開拓」に、財閥系の大手と中堅・中小で入口が分かれる韓国の進め方は「韓国の販路開拓」に、英語でそのまま営業できるフィリピンの進め方は「フィリピンの販路開拓」にまとめています。
アジアの中でも、国によって見つかる相手の層が違います。ベトナムの製造業に声をかけた支援では、出てくるのが若手のエンジニアばかりで、決める立場の人が見つからず、途中でインドに切り替えました。ただ、アジアの国だから合わなかったというより、業界や役職の条件の立て方に原因があったかもしれない、と見ています。国を替える前に、条件を変えて探し直す余地がないかも確かめます。
南アジアや東南アジアの日本語教育の関係者に声をかけた例は、サーティファイの導入事例で紹介しています。インドに売るときの進め方は「インドビジネスの始め方|BtoB営業の進出方法と市場の特徴、LinkedInで決裁者に会う手順」にまとめています。
アメリカ・ヨーロッパ:承認は渋くても、相手の数で補える
アメリカ・ヨーロッパの承認は、2〜4割と渋めです。ただ、条件に合う相手の数が多い国もあります。京都グレインシステムは、Sales Navigatorで北米・欧州・アジアを中心に、食品・飲料メーカーの研究開発や購買の責任者を探しました。北米・欧州は対象となる会社やキーマンの数も多く、イギリス、コートジボワール、リトアニアなど、さまざまな国の人とつながっています(京都グレインシステムの導入事例)。
数字に出ない違いもあります。ヨーロッパの製造業に声をかけた支援では、こちらが頼んでいないのに、専門的な話をしてくれる人が多くいました。「紹介できる会社があれば、よろしく」くらいの軽い一言で、具体的な会社の名前を教えてくれたこともあります。承認の割合が渋めの地域でも、つながった後の会話が進みやすい国があります。
承認の低さだけで外さず、つながった人からの返信と、資料・面談に進んだ数まで見て判断します。ヨーロッパは国ごとに言葉が違うので、英語で送るか、現地の言葉で送るかも国ごとに決めます。アメリカに売るときの進め方は「アメリカの販路開拓」、ドイツ・ヨーロッパは「ドイツ・ヨーロッパの販路開拓」にまとめています。
中東:休みの曜日と時期を先に確かめる
中東は、貴社の数字で反応を測りながら進めます。まず確かめたいのは暦です。サウジアラビアなど金曜と土曜が休みの国があり、休みの曜日は国によって違います。ラマダンの時期は毎年ずれ、UAEのように、その間の民間企業の勤務時間を短くする国もあります。比べる月にこうした時期が入ると、反応が落ちて見えます。
言語の選び方:英語を基本に、国ごとに試す
- 申請と最初の1通は、英語を基本にする。 AI翻訳で、英語の壁は大きく下がりました。名前・会社名・役職だけは必ず見直します。
- 英語以外の言語は、ネイティブが書く。 翻訳しただけの文は不自然になり、かえって信用を落とします。
- 現地の言葉が効くかは、国ごとに試す。 同じ国・同じ条件の相手を2つに分け、英語と、ネイティブが書いた現地の言葉で送り、承認と返信を比べます。
- 相手のプロフィールの言語を手がかりにする。 プロフィールを現地の言葉だけで書いている人が多い国は、現地の言葉を試す候補です。海外の日系企業で働く日本人には、日本語のほうが自然な場合もあります。
- プロフィールは英語を基本にする。 別の言語の相手にも見せたいときは、別言語のプロフィールを足せます(LinkedInヘルプ「別言語のプロフィールを作成・削除する」)。こちらも英語以外はネイティブが書きます。
時差と休みで、会話の進み方は変わる
時差が効くのは、申請を送る時刻より、返信を受けたあとの進み方です。申請や最初の1通は日本の業務時間に送っても、相手は自分の都合のよいときに読みます。
主な地域と日本の時差(相手が日本より遅れる時間)は、次のとおりです。
- 東アジア・
東南アジア 0〜2時間日本の業務時間の うちに、 何往復かできる - インド3時間30分日本の
午後が 相手の 午前 - 中
東 5〜6時間UAEは5時間、 日本のサウジアラビアは 6時間 夕方が 相手の 昼 - ヨーロッパ7〜9時間夏時間で
変わる 日本の夕方が 1日1往復に相手の 朝 なりやすい - アメリカ13〜17時間東部か
西部か、 返信は夏時間かで 変わる 日本の 1日1往復に夜 中から 朝に 届く なりやすい
- 東アジア・東南アジア: 0〜2時間。日本の業務時間のうちに何往復かできます。
- インド: 3時間30分。日本の午後が相手の午前です。
- 中東: UAEは5時間、サウジアラビアは6時間。日本の夕方が相手の昼です。
- ヨーロッパ: 7〜9時間(夏時間で変わる)。日本の夕方が相手の朝です。
- アメリカ: 13〜17時間(東部か西部か、夏時間かで変わる)。返信は日本の夜中から朝に届きます。
返信が来たら2〜3日のうちに返し、3〜4往復で資料や面談につなげるのが目安です。ヨーロッパやアメリカとは1日1往復になりやすいので、同じ3〜4往復でもアジアより日数がかかります。国を比べるときは「何日で面談に進んだか」ではなく、「何往復で進んだか」で見ます。
休みの時期も差し引きます。年末年始、中華圏の春節、ヨーロッパの夏の休暇、アメリカの感謝祭(11月)、中東のラマダンなどが入った月は、どの数字も下がって見えます。投稿を出す時刻の合わせ方は、国別の時差の表とあわせて「LinkedIn投稿時間の決め方|おすすめの曜日・時間帯と、予約投稿・海外向けの時差の合わせ方」で解説しています。
国ごとに記録して比べる数字
国ごとの反応は、次の数字を同じ形で記録すると比べられます。Sales Navigatorの保存検索やリストの名前を「国_業界_役職」のようにそろえておくと、集計が楽になります。
- 1条件に
合う その人数 国で、 どれだけ 続けられるか - 2承認つながった
数÷ プロフィールと申請数 相手選びが 合っているか - 3返信最初の
1通への 1通目の返信÷つながった 数 話題が、 相手に 合っているか - 4往復の
数 会話が続いているか。 時差の 大きい国は、 日数でなく 往復の 数で 見る - 5資料・
面談に 有望リード商談の進んだ 数 入口まで 進んだか。 最後は この 数を、 申請の 数と 比べて 判断する
| 数字 | 何がわかるか | 国で比べるときの注意 |
|---|---|---|
| 条件に合う人数 | その国で、どれだけ続けられるか | 承認が低くても、人数が多ければ申請を続けられる |
| 承認(つながった数÷申請数) | プロフィールと相手選びが合っているか | 地域の目安(アジアは3〜6割、アメリカ・ヨーロッパは2〜4割)と比べる。地域どうしを並べて比べない |
| 返信(最初の1通への返信÷つながった数) | 1通目の話題が相手に合っているか | 公開している事例では、つながった人の約2〜3割から返信が来ている |
| 往復の数 | 会話が続いているか | 時差の大きい国は、日数でなく往復の数で見る |
| 資料・面談に進んだ数(有望リード) | 商談の入口まで進んだか | 最後はこの数を、申請の数と比べて判断する |
いちばん大事なのは最後の行です。承認の割合が高い国が、有望リードも多いとは限りません。申請の数に対して、資料・面談に進んだ相手がいくつ出たかで、国どうしを比べます。
比べるときは、条件を1つだけ変えます。国を比べるなら、業界・役職・文面はそろえます。国と役職を同時に変えると、どちらが効いたのか分かりません。
反応の読み方:どの段で細くなっているか
同じ「反応が悪い」でも、細くなっている段によって打つ手が変わります。
承認が低い
相手がプロフィールを見て、つながるかを決めている段です。英語のプロフィールに「何者で、何を提供できるか」が書かれているか、狙う役職が高すぎないかを見直します。COSPALinksが支援の中で比べた(A/Bテスト)範囲では、申請にメッセージを付けるかどうかで、承認はあまり変わりませんでした。文面より先に、相手選びとプロフィールを見直します。アメリカ・ヨーロッパで2〜4割なら、目安どおりと考えて構いません。
承認はあるが、返信がない
つながることには抵抗がなくても、1通目の話題が相手の仕事に合っていない段です。売り込みから入っていないか、答えやすい質問1つで終えているかを見直します(「つながり申請の後の「最初の1通」|返信が来るあいさつの型と考え方」)。返信がなかった相手とは、投稿で接点を保ち、反応を合図に2通目を送ります(「LinkedInの投稿で見込み客を育てる方法」)。
相手が気にすることは、地域でも違います。支援先との打ち合わせでは、ヨーロッパは規制への対応、アメリカは「まず動けばよい」という実用の感覚、マレーシアは何より速さ、という違いが挙がりました。返信の少ない国では、その国の相手が気にすることに合わせて、1通目の話題を変えてみます。
返信はあるが、面談に進まない
会話が続かない、または「今は必要ない」で止まる段です。誰が決めるか、どんな資料が要るかは、国や会社で違います。会話のなかで相手の社内での決め方を聞き、返事は2〜3日のうちに返して、3〜4往復を目安に資料や面談を提案します。
続ける国の決め方:やめるより、寄せる
| 国の状態 | 読み方 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 承認も返信も多い | 相手と話題が合っている | 申請をこの国に寄せる。投稿もこの国の時間に合わせる |
| 承認は低いが、返信・有望リードは出る | 入口は狭いが、つながれば話が進む | 続ける。人数が多ければ申請の数で補い、プロフィールを見直す |
| 承認は多いが、返信が少ない | つながるのは気軽でも、話題が合っていない | 役職や業界をずらし、1通目の質問を変える |
| 承認も返信も少ない | 相手選び・言語・時期のどれかが合っていない | 条件を1つずつ変えて試す。それでも動かなければ申請の枠を減らし、反応のよい国に回す |
判断は月ごとに見直します。シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルは、IT・製薬・自動車・金融など実績の多い業界から始め、毎月の運用で地域や業界ごとの反応の差を見つけました。反応のよい地域と業界に申請を寄せ、承認と返信の割合を月を追って上げています。フランスのアパレル企業やシンガポールのイベント会社から、日本への出張や視察についての問い合わせも届いています(シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルの導入事例)。
国の枠を減らす前に、次の3つを確かめます。
- 条件に合う人数は足りていたか。 少なすぎる国は、業界や役職を広げてから判断します。
- 比べた月に、相手の国の長い休みが入っていなかったか。
- 1つの役職・1つの業界だけで判断していないか。
国を足すか外すかは、反応の数字だけでは決めません。ヨーロッパ向けの支援では、商談が出たときに受け止める現地の体制があるかを基準にしました。受け手のいない国は外し、代わりに体制のある国を足して、その国の言葉の文面も試しています。声をかける前に、反応があったら誰が会うのかを国ごとに決めておきます。
反応のよい国が見えたら、その国から社内で回す体制を作る進め方もあります。外部に任せて始めた会社なら、成果の出た地域から内製化していきます。LinkedIn営業の全体の流れは「LinkedIn営業とは?始め方を6ステップで解説」でまとめています。
まとめ
- 国・地域で、承認・返信・会話の進み方は変わる。承認はざっくり2〜6割、アジアは3〜6割、アメリカ・ヨーロッパは渋めで2〜4割
- 地域の傾向は確かめる仮説として持ち、国名だけで相手を決めつけない
- 言語は英語が基本。英語以外はネイティブが書き、国ごとに試す
- 時差の大きい国は1日1往復になりやすい。日数でなく往復の数で比べ、休みの時期を差し引く
- 国ごとに人数・承認・返信・往復・有望リードを記録し、どの段で細くなるかを読む
- やめるより、反応のよい国に寄せる。判断は月ごとに見直す
COSPALinksは、LinkedInを使った海外営業を支援しています。狙う国と相手の決め方から、反応を見て進め方を直すまでを、資料ライブラリにまとめています。
よくある質問
Aすぐにやめる必要はありません。アメリカ・ヨーロッパの承認は2〜4割が目安で、低いのは珍しくありません。条件に合う人数が多ければ、申請を続けられます。承認の割合ではなく、申請の数に対して資料・面談に進んだ相手がいくつ出たかで、ほかの国と比べます。
A始めは1〜2か国に絞ります。一度に多くの国へ送ると、1か国あたりの申請が少なくなり、反応の違いが見えません。2か国を同じ条件で比べ、反応のよい国が見えてから次の国を足します。
A国と相手しだいです。英語で仕事をする人が多い国では、英語で十分なこともあります。現地の言葉を試すなら、ネイティブに書いてもらい、同じ条件の相手で英語と比べます。翻訳しただけの文は不自然になり、逆効果になりかねません。
A期間で区切るより、月ごとに数字を見て寄せ直します。申請を送り始めた最初の月から、承認や返信の違いは見えてきます。毎月、国ごとの数字を並べ、反応のよい国に申請を寄せていきます。
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