ベトナム・
この記事でわかること
- 東南アジアで最初に狙う国の選び方と、ベトナムのBtoBの買い手の特徴
- 直接・商社・代理店・現地法人の4つの入り方と、それぞれの向き不向き
- 日本からLinkedInでベトナム・東南アジアの決裁者を探して会う手順と、気をつけたいこと
ベトナム・東南アジアの販路開拓は「最初の1か国」を決めるところから
東南アジアを1つの市場として狙うと、どこから手をつけるかが決まりません。国ごとに言葉も、集まる産業も、会社の決め方も違うからです。販路開拓は、最初の1〜2か国を決め、そこで売れる形をつくってから広げます。
最初の候補に挙がりやすいのがベトナムです。
- 人口が多い: 外務省の「ベトナム基礎データ」では、ベトナムの人口は約1億30万人(2023年、ベトナム統計総局)です。
- 成長が続いている: 同じ外務省の基礎データでは、経済成長率は2015〜2019年に毎年6〜7%台、2022年に8.02%でした(2023年は5.05%)。
- 日本とのつながりが深い: 日越経済連携協定(EPA)は2009年10月に発効しています。外務省の基礎データでは、2023年のベトナムの輸出先・輸入元の上位5か国に、どちらも日本が入っています。
ただし、市場が伸びていることと、貴社の製品が売れることは別の話です。国は、次の章の見どころで選びます。販路開拓の進め方と方法の比べ方の全体は「海外の販路開拓とは?新規開拓の方法・進め方と、販路の選び方」、インドに売る場合は「インドビジネスの始め方|BtoB営業の進出方法と市場の特徴、LinkedInで決裁者に会う手順」、タイは「タイの販路開拓」、シンガポールは「シンガポールの販路開拓」、台湾は「台湾の販路開拓」、インドネシアは「インドネシアの販路開拓」、フィリピンは「フィリピンの販路開拓」、韓国は「韓国の販路開拓」、アメリカは「アメリカの販路開拓」で解説しています。
東南アジアで最初の国を選ぶ5つの見どころ
東南アジアで最初に狙う国は、次の5つを順に見て決めます。
| 見どころ | 確かめること | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 引き合いと取引の実績 | 問い合わせ、展示会で会った人、今の顧客の海外拠点がある国か | 過去の問い合わせと名刺、取引先の拠点を国ごとに数える |
| 買い手の業界 | 貴社の製品を使う業界の会社や工場が、その国にあるか | Sales Navigatorで、国・業界・役職ごとの人数を見る |
| 決める場所 | 現地の工場で決めるか、地域の拠点や日本の本社で決めるか | 相手の役職名と勤務地を見て、最初の面談で聞く |
| 言葉 | 英語で商談できるか、現地の言葉の資料が要るか | 相手のプロフィールの言語と、やり取りの様子 |
| 規格・関税・輸出管理 | 製品をそのまま輸出し、現地で使えるか。協定で関税が下がるか | 通関業者・物流会社と、経済産業省の案内で確かめる |
- 引き合いのある国から: 問い合わせや取引のあった国は、判断の材料がそろっています。何もなければ、買い手の業界が集まる国を選びます。
- 決める場所を見る: 東南アジアには、シンガポールなどに地域の拠点を置き、近くの国の調達や販売をまとめて見る会社もあります。工場がベトナムにあっても、購買を決めるのが地域の拠点や本社なら、そこにいる人にも会います。東南アジアに工場や販売の拠点を持つ日系企業に売る場合も、日本の本社と現地法人のどちらで決めるかを確かめ、両方に話を通します。
- 人数を確かめてから決める: 近い国をまとめて人数を見るのは構いませんが、声をかけるのは1〜2か国からにします。どの国の、どの業界の、どの役職に、どれだけ相手がいるかを確かめる手順は「LinkedIn海外営業のターゲット設定|国・業界・役職の決め方と、相手の人数の確かめ方」で解説しています。
- 時差が小さい: タイ・ベトナムの朝9時は日本の11時、シンガポールの朝9時は日本の10時で、どちらも夏時間はありません。日本の業務時間の大半が相手と重なるので、返信やオンラインの面談を合わせやすい地域です。
COSPALinksがご支援した会社でも、はじめの狙いが欧米に寄っていて、東南アジアの相手に届いていなかったため、途中で方針を直し、東南アジアへの申請を始めました。選んだ国と相手は、始めた後も見直します。
支援の現場では、アジアの小さな国は、一度にまとめて広げず、期間の区切りを決めて入れ替えながら試す計画を立てています。区切りごとに反応を比べて、続ける国を決めます。
ベトナムのBtoBの買い手の特徴
ベトナムの会社に売るときに押さえたい特徴は、次の5つです。
| 項目 | ベトナムで起きやすいこと | 営業での対応 |
|---|---|---|
| 決める人 | 地場の会社は経営者が最後に決めることが多い。外資・日系の現地法人は、本社や地域の拠点が決めることもある | 現場の担当者と、決める人の両方と話す |
| 価格 | 他国のメーカーや地場のメーカーと比べられる | 使う年数全体の費用、納期、保守と部品の供給で説明する |
| 関係づくり | 初めての相手からの連絡には慎重になりやすい | 早めにオンラインで顔を合わせ、出張の機会に会う |
| 言葉 | 公用語はベトナム語。英語の得意さは相手による | 文章は英語で始め、現地向けの資料はネイティブに書いてもらう |
| 地域 | 北部(首都ハノイの周辺)と南部(ホーチミン市の周辺)で、集まる会社が違う | 最初は北部か南部のどちらかに絞る |
決める人:担当者の「前向き」は社内の決定とは限らない 現場の担当者が関心を示しても、社内で決まったとは限りません。最初に話した相手に「社内で誰が、どの順で決めるか」「いつ決めるか」を聞いておくと、次に会うべき人が分かります。
価格:使う年数全体の費用で比べてもらう 最初の見積もりから比べられる前提で、値引きの幅と条件を社内で先に決めておきます。価格だけで比べられないよう、壊れにくさ、保守、部品や消耗品の届く早さまで含めて説明します。
関係づくりと言葉:顔を見せ、英語で始める 相手は「信頼できる相手か」「長く付き合えるか」を見ています。メッセージだけで終わらせず、早めにオンラインの面談で顔を合わせます。英語のやり取りは、AI翻訳で壁が大きく下がりました。一方、英語以外の言語は、ネイティブが書かないと不自然になります。ベトナム語の資料を作るなら、ネイティブに書いてもらいます。
ベトナム・東南アジアへの4つの入り方(直接・商社・代理店・現地法人)
ベトナム・東南アジアに売る入り方は、主に4つです。
- 日本から
直接売る 決裁者に会い、 条件を 自社で 話せる - 日本の
商社を 輸出の通す 実務や 代金の 回収を 任せる - 現地の
代理店・ 現地での販売店 販売・ 在庫・ 保守を 任せる - 現地法人・
駐在員事務所 見込みが立ってから。 最初の 一歩には 重い
| 入り方 | 向いている場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 日本から直接売る(直接輸出) | 仕様の相談が要る製品。顧客と直接つながりたい | 輸出の手続き、代金の回収、受注後の対応を自社で手配する |
| 日本の商社を通す | 輸出の実務や代金の回収を任せたい。商社がすでに現地の顧客を持っている | 顧客の声が届きにくい。商社の中で貴社の製品が後回しにならないか |
| 現地の代理店・販売店 | 現地での販売・在庫・保守を任せたい | 1社で国全体を回れるとは限らない。担当地域と独占の範囲を決める |
| 現地法人・駐在員事務所 | 売上の見込みが立ち、現地で腰を据えて売りたい | 形ごとにできる活動と手続きが違う。最初の一歩には重い |
- 日本から直接売る: 決裁者に直接会い、仕様や条件を自社で話せます。輸出の手続きと代金の回収の基本は「海外営業とは?仕事内容・国内営業との違いと、少人数で始める新規開拓の進め方」にまとめています。
- 日本の商社を通す: 実務の負担は軽くなりますが、顧客との関係は商社の側に残りやすくなります。主な顧客とは、貴社も接点を持っておきます。商社の側から売り先を探す方法は「商社の海外新規開拓にLinkedInを使う方法|売り先と仕入れ先を探す海外営業の進め方」で解説しています。
- 現地の代理店・販売店: 候補の探し方と選び方は「海外代理店の探し方・見つけ方|LinkedInで候補を探して声をかける手順と、選び方」で解説しています。契約で任せる地域は「東南アジア」とまとめず、国名や地域名で書きます。決め方は「海外代理店契約の基本|販売店と代理店の違い、独占・地域・終わり方の決め方とチェックリスト」にまとめています。
- 現地法人・駐在員事務所: 会社をつくることと、売り先をつくることは別の仕事です。売上の見込みが立ってから、専門家に相談して形を選びます。市場の調査や現地での商談の場づくりには、公的機関の支援、コンサル、商社などがあり、段階で使い分けます。違いは「海外進出・海外展開の支援の選び方|公的機関・コンサル・商社などの違いと、段階ごとの使い分け」で比べています。
始めは日本から直接声をかけて反応を確かめ、反応のよい国で代理店や展示会を足し、売上の見込みが立ってから現地法人を考える、という順番が負担の小さい進め方です。展示会と組み合わせるなら、会期の前に会う約束を取っておきます。準備の流れは「海外展示会の選び方・出展準備の流れ・費用と事前アポの取り方」、買い手を見つける方法の全体は「海外バイヤーの見つけ方・探し方|6つの方法と声のかけ方、本物で本気の買い手の見分け方」で解説しています。
日本からLinkedInでベトナム・東南アジアの決裁者に会う
LinkedInは仕事のためのSNSで、200以上の国と地域で14億人以上が登録しています。LinkedIn自身も「About LinkedIn」で、世界最大のプロフェッショナルネットワークと紹介しています。会社名だけでなく部署や役職まで分かるので、ベトナム・東南アジアの決裁者を日本から探して、直接声をかけられます。
LinkedInは、4つの入り方のどれにも重ねて使えます。直接売る相手を探す、代理店の候補の責任者に会う、地域の拠点の購買担当に会う、展示会の前に会う約束を取る、といった使い方です。
1. Sales Navigatorで、地域・業界・役職から絞る
Sales Navigator(LinkedInの営業向けの有料版)では、次の条件を組み合わせて相手を探せます。
- 地域: Vietnam全体ではなく、ハノイの周辺かホーチミン市の周辺に絞る。地域の拠点で決める会社を狙うなら、Singaporeも加える
- 業界と会社の規模: 貴社の製品を使う業界と、従業員数
- 部門と役職の高さ: 購買・技術・生産・品質などの部門と、Owner / Partner、CXO、Directorなどの役職の高さ
- 役職名のキーワード: General Director、Plant Manager、Factory Manager、Purchasing Manager、R&D Managerなど。地域の拠点なら、Southeast AsiaやAPACを含む役職名
- 日系企業の現地法人: 会社名と地域で絞り、日本から来た駐在員と、現地の管理職の両方を見る
狙う相手がLinkedInにどれだけいるかは、国・業界・役職で差があります。Sales Navigatorの1か月の無料トライアルの間に、条件ごとの人数を確かめてから計画を立てます。機能の全体は「LinkedIn Sales Navigatorとは?できること・無料版との違い・使い方を解説【2026年版】」とLinkedIn公式の「Sales Navigatorの使い方」、製造業での絞り込み方は「製造業のLinkedIn活用|設計者・開発者に届く海外営業と、Sales Navigatorの絞り込み方」で確かめられます。
2. つながり申請と最初のメッセージ
申請の前に、プロフィールの見出しと自己紹介を英語にし、何の会社で、誰の役に立つのかが分かるようにします。申請に添える文は相手ごとに合わせるのが理想ですが、書けずに止まるより、メッセージなしでも送るほうがよいです。
承認される割合は、ざっくり2〜6割で、国や相手でかなり変わります。アジアは3〜6割を狙え、アメリカ・ヨーロッパは渋めで2〜4割です。申請は1日10〜15分ほどで回せます。
英文は短く、なぜ相手に声をかけたのかを1文で書きます(名前と製品は例です)。
- 申請に添える文:Hi Minh, I work with a Japanese maker of food processing equipment. I see your plant in Ho Chi Minh City makes packaged snacks, so I’d be glad to connect.
- つながった後の最初の1通:Thank you for connecting, Minh. We help food plants cut cleaning time on their production lines. Would a 20-minute online call next week be useful? I can share a one-page overview first.
場面ごとの文面の型は「LinkedInの英語メッセージ例文集|海外営業のつながり申請・最初の1通・フォローの型」にまとめています。
3. つながった後:早く返し、面談につなぐ
返信が届いたら2〜3日以内に返し、3〜4回のやり取りで、資料の送付やオンラインの面談につなげるのが目安です。相手の朝は日本の午前にあたるので、日本の昼前後は面談を入れやすい時間です。
- 面談で聞くこと: 社内の決め方、予算を決める時期、ほかに比べている製品、地域の拠点や本社が関わるか
- 連絡の手段: 相手が使いたいもの(メール、オンライン会議など)に合わせる
- 会社の資産にする: つながった相手を、自社の企業ページのフォローに招待する
- 会いに行く: 出張や展示会の予定ができたら、つながった相手に先に会う約束を取る
社内で手が回らないときは、委託で始めて、成果の出た国から社内に移す進め方もあります。
狙う相手を役職で絞った例では、食品・飲料向けの素材をつくる京都グレインシステムが、北米・欧州・アジアの食品・飲料メーカーのR&D・商品開発・購買の責任者に声をかけました。2か月目は、つながり申請402件から163件の承認、37件の返信、13件の有望リードにつながっています。南アジアや東南アジアの教育関係者に声をかけた例は「株式会社サーティファイ 様」の導入事例で紹介しています。流れの全体は「LinkedIn海外営業とは?Sales Navigatorで海外顧客を開拓する方法と成功事例|国選び・英語・展示会との違い」で解説しています。
ベトナム・東南アジア向けの営業で気をつけたいこと
- 国と地域を広げすぎない: 一度に多くの国に声をかけると、どこで反応があったのか分からなくなります。1〜2か国、国の中でも地域を絞ります。
- 支払条件: 初めての相手に後払いで出荷すると、回収できない危険を売り手が負います。最初の取引は、前払いの割合を増やす、信用状(L/C。買い手の銀行が支払いを約束する仕組み)を使うなど、条件を先に決めます。
- 協定と関税: ベトナムとの取引では、日越EPAのほか、日本とASEANの協定など、使える協定が複数あります。品目と原産地の条件で使える協定と税率が変わるので、製品の分類番号(HSコード)とあわせて通関業者などに確かめます。
- 規格・認証: 製品によっては、相手国の技術基準への適合や認証が要ります。国ごとに違うので、国を選ぶ段階で確かめます。
- 輸出管理: 製品や技術によっては、輸出に経済産業大臣の許可が要ります(安全保障貿易管理)。図面や技術資料をメールで送ることも対象になりえます。経済産業省の案内で早めに確かめます。
- 休みの時期: ベトナムの旧正月(テト)の前後は休みが長くなり、返事が止まりやすい時期です。急ぐ話は前倒しで進めます。
- 返信の速さ: 相手は、ほかの国の会社とも比べています。届いた連絡には、日本の業務時間のうちに返します。
まとめ
- ベトナム・東南アジアの販路開拓は、地域をまとめて狙わず、最初の1〜2か国を決めてから始める
- 国は、引き合い・買い手の業界・決める場所・言葉・規格と関税の5つで選び、相手の人数を確かめる
- ベトナムの買い手は、地場の会社なら経営者、外資・日系の会社なら本社や地域の拠点が決めることもある。価格を比べ、信頼できる相手かを見ている
- 入り方は、直接・商社・代理店・現地法人の4つ。直接声をかけて反応を確かめ、負担の大きい形は後から足す
- LinkedInでは、Sales Navigatorで地域・業界・役職から決裁者を探し、早く返して面談につなぐ
COSPALinksは、LinkedInを使った海外営業を支援しています。狙う国と相手の決め方から、代理店や展示会と組み合わせた進め方までを、資料ライブラリにまとめています。
よくある質問
A決まった正解はありません。引き合いや取引のある国、貴社の製品を使う業界が集まる国から選び、Sales Navigatorで相手の人数を確かめてから決めます。ベトナムは人口が多く成長も続いているので候補に挙がりやすい国ですが、決める場所が地域の拠点にある会社なら、シンガポールなどの担当者にも会います。
A始められます。日本から声をかけるときは英語で構いません。英語のやり取りは、AI翻訳で下書きを作り、名前・会社名・数字を見直せば送れます。ベトナム語の資料やメッセージを使うときは、ネイティブに書いてもらいます。
A売れます。日本から直接輸出する、日本の商社を通す、現地の代理店・販売店を置く、といった形があります。LinkedInを使えば、日本から決裁者に直接声をかけられます。現地法人は、売上の見込みが立ってから考えます。
Aかけられます。会社名と地域で絞り、日本から来た駐在員と、現地の管理職の両方を探します。購買を日本の本社で決める会社もあるので、最初の面談で決め方を聞き、本社の担当にも話を通します。
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狙いたい国・業界・役職を












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